クラウチングスタートで足の位置をどこに置けばよいのか分からず、前足と後ろ足の間隔を感覚だけで決めている人は少なくありません。
スターティングブロックの位置が合っていないと、構えたときに窮屈になったり、号砲と同時に体が上へ浮いたり、後ろ足でブロックを押せなかったりするため、筋力があってもスタートダッシュへ十分につなげにくくなります。
基本の測り方は難しくなく、自分が履くシューズの長さを基準にして、スタートラインから前ブロックまでの距離と、前ブロックから後ろブロックまでの距離を順番に決めれば、毎回ほぼ同じ位置へ設置できます。
ここでは、初心者が最初に試しやすい足長による測定方法から、体格や姿勢に応じた微調整、近すぎる場合と遠すぎる場合の見分け方、練習や試合で同じ設定を再現するコツまで、実際の動作と結び付けながら詳しく説明します。
クラウチングスタートの足の位置は1.5足長を目安に測る

初めてスターティングブロックを合わせる場合は、スタートラインから前ブロックまでを約1.5足長、前ブロックから後ろブロックまでを約1.5足長にする方法が分かりやすい基準になります。
日本陸上競技連盟の中学校向け指導資料でも、前ブロックまでの距離と前後のブロック間隔に1.5足長を用いる設定が目安として示されており、前ブロックは約45度、後ろブロックはそれよりやや急な角度から調整するとされています。
ただし、1.5足長は全員に共通する完成形ではなく、迷わず練習を始めるための初期位置なので、セット姿勢や蹴り出しを確認しながら一段ずつ前後へ動かすことが大切です。
最初に使う基準
クラウチングスタートの足の位置を測るときは、スタートライン、前ブロック、後ろブロックという三つの基準点を分けて考えると混乱を防げます。
最初から左右のペダルを同時に動かすのではなく、スタートラインから前ブロックの位置を決め、その後で前ブロックを基準に後ろブロックを置くと、距離のずれが小さくなります。
| 測る場所 | 初期設定の目安 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| ラインから前ブロック | 約1.5足長 | 前脚が窮屈でない |
| 前から後ろブロック | 約1.5足長 | 後ろ膝が自然に接地 |
| 前ペダルの角度 | 約45度から開始 | 足裏を押し当てやすい |
| 後ろペダルの角度 | 前よりやや急角度 | かかとが浮きすぎない |
ブロックの機種によって穴の間隔や角度調整の段数が異なるため、数値だけを合わせるのではなく、どの穴と角度を使ったかまで記録しておくと再現しやすくなります。
初心者は細かな違いを一度に判断しようとせず、まず基準位置で数本走り、明らかな窮屈さや伸び切った感覚がある部分だけを一段ずつ直すと、自分に合う設定へ近づけられます。
前足と後ろ足の決め方
前ブロックに置く足は、一般的な利き足という呼び方だけで決めるより、スタートで長く強く押し続けやすい脚を選ぶほうが実際の動作に合いやすくなります。
前脚はブロックを離れるまで大きな力を受け止めながら体を前方へ運ぶ役割を持ち、後ろ脚は素早く押して最初の一歩へ切り替える役割を持つため、左右の得意な動きが異なる場合があります。
迷う人は、立った状態で背中を軽く押してもらったときに自然に前へ出る足、両足跳びから片脚で着地しやすい足、現在の構えで安定して押せる足を比べ、前後を入れ替えたスタートも試してください。
自然に前へ出る足を必ず前ブロックへ置かなければならない決まりはなく、左右を入れ替えたときの構えやすさ、ブロックを押す感覚、最初の三歩のリズムを総合して判断することが重要です。
一回のスタートだけで決めると偶然の成功に左右されるため、それぞれの配置で三本程度走り、毎回同じ方向へ進めるか、上体が急に起きないか、後ろ足が空回りしないかを比較します。
スタートラインからの測り方
実際に距離を測るときは、スタートラインの手前側の縁を基準にし、自分が競技で履くシューズを縦向きに置いて足長を取る方法が簡単です。
ラインの中央や向こう側から測ると数センチの差が生じるため、練習場所が変わっても必ず同じ側の縁から測るという手順を決めておく必要があります。
- ライン手前の縁にシューズの先端を合わせる
- 進行方向と平行にシューズを置く
- 一足分の位置を目で確認する
- 半足分を追加して前ブロックを置く
- 前ブロックから同じ方法で後方を測る
- ブロック本体がラインへ重ならないか確かめる
足を直接置いて測る場合も、つま先からかかとまでを一足として扱い、歩幅のように大きく踏み出さないことが正確に合わせるポイントです。
試合前に焦って測ると半足分を忘れやすいため、普段から同じ順番で設置し、最後にブロック本体を後方へ軽く押して固定されているかまで確認してください。
足長を正確に取る方法
足長による測り方で使う一足分は、裸足の実寸ではなく、原則としてスタート時に履くシューズのつま先からかかとまでの長さを利用すると現場で再現しやすくなります。
ランニングシューズと短距離用スパイクでは外寸が異なる場合があるため、練習では厚いシューズ、本番では短いスパイクという組み合わせにすると、同じ1.5足長でもブロック位置が変わる可能性があります。
測るときはシューズを斜めに置かず、レーンの進行方向と平行にそろえ、半足分はシューズ中央付近を目安にして、毎回同じ位置で区切るようにします。
より正確に管理したい人は、足長で決めた位置をメジャーでも測り、スタートラインから前ブロックのペダル中央まで何センチあるか、前後のペダル中央間が何センチあるかを練習ノートへ残すと便利です。
足長は素早く設置するための実用的な基準であり、センチ表記は競技場やブロックの機種が変わったときに以前の設定へ近づける補助情報として使うとよいでしょう。
前ブロックの位置
前ブロックを約1.5足長の位置へ置いたら、オン・ユア・マークスの姿勢を取り、前脚のすねが不自然に寝すぎたり、胸へ近づきすぎたりしていないかを確認します。
前ブロックがラインに近すぎると、セットで膝や股関節が深く曲がって窮屈になり、号砲後に脚を前方へ運ぶ空間が不足して、最初の一歩が横や上へ逃げやすくなります。
反対に前ブロックが遠すぎると、セット姿勢で前膝が伸び、ブロックを十分に押し切る前に足が離れやすくなるため、強く構えているつもりでも前方へ伝わる力が小さくなることがあります。
前脚の位置が適切かどうかは、見た目の形だけでなく、号砲後に足首、膝、股関節を連動させて押せるか、ブロックを離れる瞬間まで足裏で圧力を感じられるかで判断します。
調整するときは一度に二段以上動かさず、近いと感じたら一段後ろ、押し切れないと感じたら一段前というように、小さな変更とスタート動作を交互に行ってください。
後ろブロックの位置
後ろブロックは前ブロックから約1.5足長後方を初期位置にし、オン・ユア・マークスで後ろ膝を地面へ下ろしたときに、腰や肩をねじらず自然に構えられるかを見ます。
後ろブロックが前へ近すぎると、両脚が密集してセット姿勢が小さくなり、ブロックを素早く離れられても、前方へ力を加える時間が不足して最初の一歩が弱くなる場合があります。
後ろへ離しすぎると、後ろ膝が伸びた状態から構えることになり、足裏をペダルへ密着させにくく、号砲後に押すより先に足を引き上げる動きが出やすくなります。
適切な位置では、セットしたときに後ろ脚へも圧力をかけられ、号砲後に後ろブロックを短く鋭く押しながら、膝を前方へ運ぶ動作へ滑らかに切り替えられます。
後ろ足がブロックから外れる音だけ大きいのに体が進まない場合は、脚を後方へ蹴り上げている可能性があるため、位置を近づけるだけでなく、押す方向も見直してください。
ペダル角度の合わせ方
足の位置を合わせてもペダル角度が合っていなければ、足裏とブロックの間に隙間ができるため、距離と角度は別々ではなく一組の設定として確認する必要があります。
初期設定では前ペダルを約45度から始め、後ろペダルは前よりやや急な角度にすると、オン・ユア・マークスからセットへ移るときに両足を押し当てやすくなります。
| 感じる問題 | 考えられる状態 | 調整の方向 |
|---|---|---|
| かかとの隙間が大きい | 角度が急すぎる | 一段寝かせる |
| 足首が詰まる | 角度が緩すぎる | 一段立てる |
| 前足が滑る | 密着不足や固定不足 | 角度と設置を再確認 |
| 後ろ足を押せない | 距離と角度が不適合 | 位置を含めて調整 |
角度を変えると足首だけでなく膝や腰の高さも変わるため、ペダルを一段動かした後は必ずセット姿勢まで取り直し、足裏の密着と全身のバランスを確認します。
柔軟性が低い人が見た目だけをまねて急角度にすると、ふくらはぎやアキレス腱周辺へ強い張りを感じることがあるため、痛みを我慢して固定せず、無理なく押せる範囲を優先してください。
セット姿勢での最終確認
足長で測った位置が自分に合っているかは、オン・ユア・マークスで静止できることに加え、セットで腰を上げたときにも両手と両足へ無理なく圧力を分散できるかで判断します。
World Athleticsの2026年競技規則では、対象種目のクラウチングスタートで、オン・ユア・マークスでは両手と少なくとも片膝を地面へ接触させ、両足をブロックのフットプレートへ接触させることが定められています。
セットでは手を地面へ残し、両足もペダルへ接触させたまま最終姿勢へ移るため、足の位置が合わず静止できない設定は、速さ以前に安定したスタート手順を妨げます。
良い設定では、腰を上げても前後どちらか一方の足がペダルから離れず、肩が大きく左右へ傾かず、号砲まで短時間なら落ち着いて静止できます。
セットした瞬間から腕だけが苦しくなる場合はブロックが遠い可能性があり、後方へ倒れそうになる場合はブロックが近い可能性があるため、全身の重心から位置を見直してください。
足の位置を自分の体格へ合わせる

基本の1.5足長で測っても、身長、脚の長さ、股関節や足首の柔軟性、筋力、得意な加速姿勢によって、構えやすい前後幅は少しずつ異なります。
調整の目的は有名選手と同じ形を作ることではなく、自分が両方のブロックへ力を加え、低い姿勢から前方へ加速しやすい配置を繰り返し再現することです。
基準位置から一段ずつ変更し、セットの安定性、ブロックを押す感覚、最初の三歩、五メートル付近までの進み方を比べれば、感覚だけに頼らず候補を絞れます。
体格に応じた調整
身長が高い人や大腿部が長い人は、同じ足長で測ってもセット姿勢が窮屈になることがあり、前後どちらかのブロックを一段後方へ動かすと股関節周辺に余裕が生まれる場合があります。
一方で小柄な人や脚を素早く切り替えるタイプは、ブロックを広くしすぎると後ろ足が遠くなり、押す前に足を引き上げる動作が出やすいため、基準位置から無理に離す必要はありません。
- 膝が胸へ詰まる場合は間隔を広げる
- 後ろ足が届きにくい場合は間隔を狭める
- 腕に体重が集中する場合は前ブロックを確認する
- 腰が上がらない場合は前後幅を見直す
- 足裏が離れる場合は角度も調整する
- 痛みが出る設定は使用しない
体格に合わせるときも身長だけで決めず、腕の長さや胴体の比率、柔軟性、セットで支えられる筋力まで含めて考えると、同じ身長の選手と設定が違っても不自然ではありません。
成長期の選手は数か月で脚の長さや筋力が変わることがあるため、以前の穴番号へ固定せず、窮屈さや押しにくさが出た時点で測り直してください。
三つの配置タイプ
前後のブロック間隔は、狭い配置、標準的な配置、広い配置という考え方で整理されることがあり、それぞれブロックを離れる速さと力を加えられる時間に違いが生じます。
初心者は極端に狭い配置や広い配置を選ぶより、1.5足長前後の中間的な設定から始め、自分の動作で起きている問題に合わせて変更するほうが判断しやすくなります。
| 配置 | 前後の間隔 | 主な特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 狭い配置 | 短め | 素早く離れやすい | 押す時間が短くなりやすい |
| 中間の配置 | 標準 | 力と動きの両立を狙いやすい | 個人調整が必要 |
| 広い配置 | 長め | 大きく押しやすい | 後ろ足が遅れやすい |
狭い配置でブロックを早く離れられても、体が前へ進まず一歩目が小さくなるなら、反応が速くなったのではなく、押す動作を途中で終えている可能性があります。
広い配置で力強く感じても、一歩目を着くまでに時間がかかる場合は、後ろ足を運ぶ距離が長すぎるため、加速全体では不利になることがあります。
利き足だけで決めない
ボールを蹴る足、階段の一段目に出す足、片脚跳びが得意な足は一致しない場合があるため、日常的に利き足と呼んでいる側だけで前脚を決めるのは十分ではありません。
スタートでは前脚に長く押す能力が求められ、後ろ脚には短時間で力を加えて前へ回収する能力が求められるため、左右を入れ替えると構えの安定性や一歩目の方向が変化します。
比較するときは、一方の配置で三本から五本、反対の配置でも同じ本数を走り、五メートル地点までの歩数、最初の着地点、上体が起きる時期、左右へのぶれを記録します。
慣れている配置は動作が滑らかに感じやすいため、一日だけのタイムで決定せず、複数回の練習で安定して良い結果が出るかを見ることが必要です。
前後を変更すると腕振りも左右反対になるので、脚だけでなく号砲直後の腕の入れ替えまで練習し、新しい配置による一時的なぎこちなさと本質的な不適合を分けて考えてください。
セット姿勢から適正位置を見極める

足長でブロックを置いた後は、数字を守ることより、セット姿勢から前方へ無駄なく力を出せる状態になっているかを優先して確認します。
適正な位置では、両足がペダルへ接触し、腰を上げても全身が安定し、号砲後に上へ跳ねるのではなく斜め前へ押し出す動きへつながります。
膝の形、腰と肩の位置、足裏の密着という三つの視点を使えば、速い選手の外見をそのまままねなくても、自分の配置にある問題を見つけやすくなります。
膝とすねの形
オン・ユア・マークスでは、前脚の膝が前方へ詰まりすぎず、後ろ膝を地面へ置いたときに骨盤が大きくねじれない位置を探します。
セットでは前脚が比較的深く曲がり、後ろ脚はそれより開いた形になりやすいものの、角度を特定の数値へ無理に合わせるより、両脚でペダルを押せるかを先に確認するほうが実践的です。
| 見える状態 | 考えられる問題 | 確認する部分 |
|---|---|---|
| 前膝が胸へ近い | 前ブロックが近い | 股関節の窮屈さ |
| 前膝が伸びすぎる | 前ブロックが遠い | 押し切れるか |
| 後ろ膝が前へ入りすぎる | 間隔が狭い | 後ろ脚の圧力 |
| 後ろ膝が遠い | 間隔が広い | 足裏の密着 |
横から撮影するときはカメラを腰の高さ付近へ置き、レーンに対して直角から撮ると、ブロックの位置と膝の形を比較しやすくなります。
角度の見た目が良くても、号砲後に膝が一度沈んでから動き出す場合は、力を出せる姿勢になっていない可能性があるため、静止画だけでなく動き始めも確認してください。
腰と重心の位置
セット姿勢で腰を上げる目的は、単にお尻を高く見せることではなく、号砲後にブロックへ力を加えながら重心を前方へ移動させやすい状態を作ることです。
腰が低すぎると立ち上がる動作が先に起きやすく、腰が高すぎると腕へ体重が集中して足で押しにくくなるため、安定して静止できる範囲で調整します。
- 腰だけを急に持ち上げない
- 頭を反らして前を見すぎない
- 肩を左右で同じ高さに保つ
- 両足へ圧力を残す
- 指先だけへ体重を集めない
- 呼吸を完全に止め続けない
セットしたときに前へ倒れそうな感覚が強すぎる場合は、ブロックが遠い、肩が手より前へ出すぎている、腰を必要以上に高くしているといった複数の原因が考えられます。
後方へ座るような感覚がある場合は、前ブロックが近いか、腰が低い可能性があるため、足の位置と姿勢を一つずつ変更して原因を分けてください。
足裏の密着
クラウチングスタートでは、靴底の前側だけをペダルへ引っかけるのではなく、可能な範囲で足裏を押し当て、号砲後すぐにブロックへ力を伝えられる状態を作ります。
足とペダルの間に大きな隙間があると、合図の後に足がペダルへ沈み込んでから押すことになり、力を出し始めるまでに余計な動きが生じます。
かかとを無理に低くしようとして足首へ痛みが出る場合は、柔軟性に対して角度が急すぎる可能性があるため、ペダルを一段寝かせて密着の変化を確認します。
後ろ足が密着しないときは角度だけを直すのではなく、後ろブロックが遠すぎないか、オン・ユア・マークスで腰がねじれていないか、スパイクのピンが適切に接しているかも見ます。
足裏を強く押し付けることに意識が偏ると全身が硬くなるため、静止中は接触を保ち、号砲後に足首、膝、股関節を通じて前方へ押すという流れを練習してください。
足の位置で起こる失敗を修正する

スタートがうまくいかないときは、反応の遅さや筋力不足だけを疑うのではなく、ブロックが近すぎる、遠すぎる、左右へ傾いているという設置上の問題を確認する必要があります。
配置のずれは一歩目だけで終わらず、二歩目以降の接地位置や上体が起きる時期にも影響するため、五メートルから十メートル付近までの動きを見て判断します。
一度に距離、角度、前後脚、姿勢をすべて変更すると何が改善したか分からなくなるので、原因の候補を一つ選び、一段だけ動かして比較する方法が有効です。
ブロックが近すぎる場合
前後のブロックが近すぎると、オン・ユア・マークスから膝や股関節が深く曲がり、セットで腰を上げても体を伸ばす空間が不足しやすくなります。
号砲後に両脚が早くブロックを離れるため反応が良くなったように感じても、実際には押す時間が短く、一歩目が小さいまま上体だけが起きることがあります。
- セット姿勢が窮屈に見える
- 膝が胸へ近づきすぎる
- 一歩目が真下へ落ちる
- 腰がすぐに高くなる
- ブロックを押した感覚が弱い
- 最初の数歩が細かくなる
修正では、まず後ろブロックを一段後方へ動かして前後幅を広げ、後ろ足が押しやすくなるかを確認し、それでも前脚が詰まる場合は前ブロックも一段後ろへ動かします。
距離を広げた直後は動作が遅く感じることがありますが、五メートル地点で体が前へ進み、一歩目から三歩目まで滑らかにつながるなら、以前より有効な配置である可能性があります。
ブロックが遠すぎる場合
ブロックが遠すぎると、セット姿勢で腕へ体重がかかりやすくなり、後ろ足のかかとがペダルから大きく離れたり、前脚を押し切る前に足が外れたりします。
見た目は低く伸びた姿勢になっていても、号砲後に腰が一度沈む、後ろ足が大きく回る、一歩目を着くまでが長いという動きが出る場合は、広すぎる可能性があります。
| 現象 | 主な原因候補 | 最初の修正 |
|---|---|---|
| 腕が強く疲れる | 前ブロックが遠い | 前を一段近づける |
| 後ろ足が空回りする | 後ろブロックが遠い | 後ろを一段近づける |
| 腰が一度沈む | 伸びすぎたセット | 前後幅を狭める |
| 一歩目が遠くへ着く | 前へ跳びすぎる | 押す方向を見直す |
修正するときは前後を同時に近づけず、後ろ足が届かないなら後ろブロック、前脚を押せないなら前ブロックというように、症状と対応する側から動かします。
近づけた結果としてセットが窮屈になった場合は元の位置へ戻し、角度を寝かせることで足裏を密着させられないかも試してください。
左右のずれと設置角度
スターティングブロック本体がレーンに対して斜めになっていたり、前後のペダルが自分の骨盤幅に合わない方向を向いていたりすると、号砲後に一歩目が左右へ流れます。
直線種目では基本的にブロックのレールを進行方向へ合わせ、スタートラインに対して大きく斜めになっていないことを後方から確認します。
オン・ユア・マークスで片側の肩だけが前へ出る、骨盤がねじれる、手の位置が左右で大きく異なる場合は、足の前後だけでなく、ブロック全体の向きや手幅も見直してください。
曲走路から始まる種目では進みたい方向を考えた設置が必要になりますが、隣のレーンを妨げたり、ブロック本体がスタートラインへ重なったりしない範囲で調整する必要があります。
後方から動画を撮り、頭、背骨、骨盤が一歩目の方向へそろっているかを見ると、脚力不足に見えていた左右のぶれが設置によるものか判断しやすくなります。
練習と試合で同じ設定を再現する

自分に合う足の位置が見つかっても、練習日ごとに設置が変われば、スタート姿勢や最初の数歩を安定させることはできません。
足長だけでなく、使用する穴番号、ペダル角度、前後脚、ラインからの距離を記録し、設置から試走までの手順を固定すると、試合でも短時間で合わせやすくなります。
感覚、動画、通過時間という異なる情報を組み合わせれば、単に一番気持ち良く飛び出せた設定ではなく、複数回安定して加速できる設定を選べます。
三段階で試走する
足の位置を変更した日は、最初から全力で何本も走るのではなく、セット姿勢、軽いスタート、全力に近いスタートという三段階で確認すると、安全に違いを比べられます。
最初の段階では号砲を使わず、オン・ユア・マークスからセットへ移り、五秒程度静止しても足が離れないか、腕や腰へ過度な負担がないかを見ます。
- セット姿勢を三回確認する
- 七割程度で五メートル走る
- 八割程度で十メートル走る
- 問題がなければ強度を上げる
- 変更は一回につき一項目にする
- 各設定を複数本比較する
軽いスタートで左右へぶれる、足裏が滑る、腰が沈むといった問題が出る場合は、全力へ進まず、固定状態とペダル位置を確認してください。
全力に近い動作では一歩目だけを評価せず、三歩目や五歩目まで押すリズムが続くかを見て、速くブロックを離れることより加速全体が滑らかになる設定を選びます。
動画と通過時間を使う
自分の感覚だけでは、ブロックを強く押せたつもりでも上へ跳んでいたり、低く出たつもりでも腰が沈んでいたりするため、横と後方から動画を撮ると判断しやすくなります。
動画はスロー再生できる設定を使い、セット姿勢、両手が離れる瞬間、後ろ足が離れる瞬間、前足が離れる瞬間、一歩目の接地を順番に確認します。
| 記録項目 | 見る内容 | 判断の目的 |
|---|---|---|
| 横からの動画 | 腰と上体の動き | 上へ浮いていないか |
| 後方からの動画 | 左右へのぶれ | 直線的に進んでいるか |
| 五メートル通過 | 初期加速 | 設定間を比較する |
| 十メートル通過 | 加速のつながり | 一歩目だけに偏らない |
| 歩数 | 接地のリズム | 細かくなりすぎていないか |
計測誤差がある環境では一回の最速値を採用せず、同じ設定で複数本走った平均やばらつきを見て、安定性の高い配置を優先します。
動画を比べるときは撮影位置と距離をそろえ、ウォーミングアップの状態や風向きも記録しておくと、足の位置以外の要因による違いを減らせます。
大会での準備手順
試合では競技場によってスターティングブロックの形や穴の間隔が異なる場合があるため、練習で使った穴番号だけを頼りにせず、足長と姿勢の両方で合わせます。
招集や入場の流れを確認したうえで、許された準備時間内にブロック本体を置き、前ブロック、後ろブロック、角度、固定状態の順番で作業すると焦りにくくなります。
設置後はブロックを後方へ押して動かないことを確認し、オン・ユア・マークスとセットを一度ずつ取り、足裏の密着や手の位置に違和感がないかを確かめます。
緊張すると普段より腰を高く上げたり、スタートラインへ近づきすぎたりしやすいため、本番だけ特別な構えを作らず、練習と同じ呼吸と動作順序を繰り返すことが大切です。
直前に違和感があっても大幅な変更は避け、明らかに足が届かない、窮屈で静止できない、ブロックが固定されないという問題に限って一段単位で修正してください。
足の位置を測って安定した一歩につなげる
クラウチングスタートの足の位置に迷ったら、スタートラインから前ブロックまでを約1.5足長、前ブロックから後ろブロックまでを約1.5足長にして、前ペダルを約45度、後ろペダルをそれよりやや急な角度から試すと、調整を始めやすくなります。
この数値はすべての選手にとっての正解ではないため、オン・ユア・マークスで無理なく構えられるか、セットで両足をペダルへ接触させたまま静止できるか、号砲後に前後両方のブロックを押して斜め前へ進めるかを確認してください。
窮屈で一歩目が小さくなる場合はブロックを一段後方へ動かし、足が届かず腕へ体重が集中する場合は一段前方へ戻すなど、問題が起きている側だけを少しずつ調整すると原因を判断しやすくなります。
最終的には、足長、センチ、穴番号、ペダル角度、前後脚を練習ノートへ記録し、動画や五メートルから十メートルの動きを複数本比較して、最速の一回ではなく安定して再現できる位置を選ぶことが、力強いスタートダッシュにつながります。



