リレーの第1走者に選ばれたものの、スタートで出遅れないか、バトンを持ったまま普段どおりに走れるか、カーブでバランスを崩さないかと不安を感じる人は少なくありません。
第1走者は静止した状態から号砲に合わせて走り始めるため、第2走者以降とは役割が異なり、反応の速さだけでなく、姿勢を崩さず加速する技術、自分のレーンを守って曲走路を走る技術、第2走者へ安全につなぐ判断力が求められます。
ただし、スタートを成功させようとして号砲を予測したり、最初の一歩だけを大きくしたり、序盤から上体を急に起こしたりすると、かえって力が逃げて加速しにくくなるため、特別な動きを増やすよりも、毎回同じ準備と動作を再現できるようにすることが大切です。
ここでは、陸上競技の4×100mリレーを中心に、運動会や体育祭のリレーにも応用できるスタートの考え方、バトンの持ち方、カーブの走り方、練習方法、よくある失敗への対処までを整理し、本番で迷わず動くための具体的な手順を紹介します。
リレー第1走者のスタートで意識したいコツ

リレーの第1走者がスタートで最優先したいのは、誰よりも早く動こうと焦ることではなく、合図を聞いてから、練習どおりの姿勢で前方へ力を伝えることです。
スタート直後の数歩が安定すれば、その後の加速、曲走路での走り、第2走者へのバトンパスまで余裕を持ってつなげやすくなります。
まずはスタート前の確認事項を整理し、構え方、号砲への反応、最初の一歩、加速姿勢、バトンの扱いを一つずつ身につけましょう。
確認の順番を固定する
スタート地点に入ってから考えることが多すぎると緊張が強まりやすいため、足元、バトン、進行方向、呼吸というように、確認する順番を毎回固定しておくことが有効です。
本番で落ち着いて見える選手も、何も考えていないわけではなく、自分で決めた短い手順を繰り返すことで、周囲の声や他チームの動きに注意を奪われにくい状態をつくっています。
- 靴ひもとスパイクを確かめる
- スタート位置を確かめる
- バトンの向きを整える
- 走るレーンの先を見る
- 息を長く吐いて構える
確認項目は増やしすぎず、自分が忘れやすいものに絞り、練習のスタートでも同じ順番を使うと、本番だけ特別な準備をする必要がなくなります。
運動会のようにスターティングブロックを使わない場合も、立つ位置、前に出す足、バトンを持つ手、最初に見る方向を決めておけば、急な招集や進行の変更があっても慌てにくくなります。
ブロックを体格に合わせる
陸上競技の短距離リレーでは第1走者がスターティングブロックを使うため、前後の足をどこに置くか、ペダルの間隔をどれくらいにするかを事前に調整しておく必要があります。
ブロックが近すぎると腰が詰まって前へ押し出しにくくなり、遠すぎると脚が伸びた状態から動き始めるため、素早く力を加えることが難しくなります。
| 確認箇所 | 目安となる感覚 | 起こりやすい失敗 |
|---|---|---|
| 前足 | 強く押せる位置 | 窮屈で腰が浮く |
| 後ろ足 | 素早く運べる位置 | 遠すぎて一歩が遅れる |
| 手の位置 | 肩幅より少し広め | 腕に体重を預けすぎる |
| 腰の高さ | 肩よりやや高い | 上げすぎて前へ倒れる |
最適な設定には個人差があるため、速い選手の間隔をそのまままねるのではなく、同じ設定で数本走り、最初の三歩が窮屈にならないか、足が滑らないか、上体が左右にぶれないかを確認しましょう。
競技会当日に初めて設定を変えるのは避け、普段から前後のペダル位置を足数や目盛りで記録しておくと、会場が変わっても短時間で自分の形を再現できます。
号砲を予測しない
反応を速くしようとして音が鳴る瞬間を予測すると、身体が先に動いたり、構えたまま力み続けたりしやすいため、合図を当てるのではなく、実際に聞いてから動く意識を持つことが重要です。
400mまでの競走では一般に「位置について」「用意」に続いて号砲が鳴るため、それぞれの合図で行う動作を決め、「用意」の後は動こうと考え続けず、音を待つ状態をつくります。
反応を速くするために必要なのは、耳だけに集中することではなく、手、肩、首、あごに余分な力を入れず、号砲が鳴った瞬間に脚で地面を押せる姿勢を保つことです。
隣の選手がわずかに動いた音や観客の声に反応すると自分のリズムが崩れるため、視線を定め、スターターの合図以外では動かない練習を重ねると、にぎやかな会場でも落ち着きやすくなります。
大会ごとのスタート方法や不正スタートの扱いは異なる場合があるので、出場前に競技注意事項を読み、公式競技では日本陸上競技連盟のルール解説も確認しておきましょう。
一歩目を前へ運ぶ
スタートの一歩目は遠くへ着こうとするのではなく、地面を後方へ押した結果として身体が前へ進み、その移動に合わせて足が自然に前へ出る形を目指します。
歩幅を大きくしようとして足先だけを遠くへ伸ばすと、身体より前に接地してブレーキがかかりやすくなり、二歩目以降も腰が落ちて加速が途切れます。
反対に、足を細かく動かすことだけを意識すると、地面を押す時間が短くなり、脚は動いているのに身体が前へ進まない走りになることがあります。
練習では一歩目の距離を競うよりも、スタートラインから三歩目や五歩目までを動画で撮り、頭から足までが前方へ進んでいるか、足音が必要以上に大きくないか、左右の接地位置が広がっていないかを見ます。
バトンを持っている側の腕は通常より振りにくく感じますが、握り締めて肘を固めず、反対側の腕と同じテンポで前後へ動かすと、身体のねじれを抑えながら加速できます。
上体を少しずつ起こす
スタート直後は前傾姿勢を保つことが大切ですが、頭を無理に下げ続けたり、腰から深く折れたりする姿勢ではなく、足首から頭までがまとまって前方へ進む感覚をつくります。
号砲直後に顔を上げて第2走者の位置を探すと、上体まで急に起きてしまい、地面へ加えた力が上方向へ逃げやすくなるため、序盤は自分のレーンの少し前方を見る程度で構いません。
上体を起こすタイミングを歩数で厳密に決める必要はなく、スピードが高まるにつれて接地位置が身体の真下へ近づき、自然に通常の疾走姿勢へ移る流れを大切にします。
前傾を長く保とうとして低い姿勢を我慢すると、脚が後ろへ流れたり、視野が狭くなったり、カーブで内側へ倒れすぎたりするため、姿勢よりも加速が滑らかにつながっているかを優先しましょう。
練習では十メートル、二十メートル、三十メートルまでの走りを分けて確認し、どの地点で急に身体が起きるかを把握すると、自分が力みやすい局面を修正しやすくなります。
カーブへ力をつなげる
4×100mリレーの第1走者は曲走路を走るため、直線のスタートと同じように前へ加速しながらも、自分のレーンの曲がりに沿って進む必要があります。
カーブでは内側へ身体を倒そうと意識しすぎると、肩だけが傾いて腰が外側へ残りやすいため、地面から受ける力に合わせて身体全体がわずかに内側へ傾く状態を目指します。
視線をすぐ近くの内側ラインへ向けると進路が細かく揺れやすいので、数メートル先のレーン中央を追いながら、内側のラインを踏まない位置を保ちます。
外側へ膨らむのを恐れて歩幅を小さくするとスピードが落ちるため、腕振りのテンポを保ち、外側の脚でも地面をしっかり押して、カーブの出口まで加速を途切れさせないことが大切です。
練習場所が直線しかない場合でも、実際の競技場では曲率や傾斜の感覚が変わるため、本番前に可能な範囲で第1走者の区間を走り、スタート地点からバトンパス地点までの景色を覚えておきましょう。
バトンを軽く握る
第1走者はスタート時からバトンを持つため、落とさないことを意識しすぎて強く握ると、手首、前腕、肩まで硬くなり、腕振りが小さくなる場合があります。
バトンは手のひら全体で握り込むよりも、指で安定させながら、走っている最中に向きが大きく変わらない程度の力で保持することが基本です。
どちらの手で持つかはチームのバトンパス方法や走順によって決まるため、自分だけ走りやすい手へ勝手に変えず、第2走者が受け取る手との組み合わせをそろえます。
スタート姿勢ではバトンの端が地面やスタートラインに触れないようにし、指を置くスペースが狭くなる場合は、練習でバトンを持った状態の手のつき方を繰り返しておきます。
手に汗をかきやすい人は、本番だけ特別な握り方に変えるのではなく、ウォーミングアップで実際のバトンを持ち、滑りやすさや表面の感触を確かめてからスタート地点へ向かいましょう。
渡す直前まで走り切る
第1走者の仕事はスタートで前へ出ることだけではなく、自分のスピードを保ったまま第2走者へバトンを届け、次の走者が加速を続けられる状態をつくることです。
バトンパスが近づいたときに相手の手を探して速度を落とすと、第2走者との距離が急に縮まり、手が合わない、足が接触する、ゾーンの早い位置で詰まるといった失敗につながります。
第1走者は決めた合図を出し、相手の手が所定の位置へ出てからバトンを運びますが、腕だけを伸ばして届けようとせず、走るテンポを維持したままパス動作へ移ります。
2026年の日本陸連競技規則では、4×100mリレーのテイクオーバーゾーンは30mとされ、受け渡しの成立は走者の身体ではなくバトンの位置によって判断されるため、公式大会では最新の競技規則に沿って練習する必要があります。
安全に渡せるようになるまではゆっくりした速度で手の位置と合図を合わせ、その後にテンポ走、全力に近い走りへ段階的に上げると、速さだけを優先して失敗を繰り返すより効率よく安定します。
第1走者に求められる役割を理解する

第1走者は単にチームで最もスタートが速い人を置く区間ではなく、静止状態から加速し、曲走路を走り、バトンを持ったまま第2走者との距離を調整する区間です。
個人の100m走が速くても、号砲前に焦りやすい人や、カーブでフォームが崩れやすい人は、別の走順のほうが力を発揮できる場合があります。
選手を決めるときは記録だけで判断せず、スタートの再現性、走路への適応、バトンパスの安定性を含めて考えましょう。
向いている特徴を知る
第1走者に向いているのは、一度だけ鋭いスタートを切れる人よりも、練習と本番で大きく動きを変えず、決められたレーンを安定して走れる人です。
特に学校のリレーでは、周囲の声援が大きく、スタートのやり直しや進行の遅れも起こり得るため、待ち時間が長くても集中を切らさない性格が強みになります。
- 合図を落ち着いて待てる
- 最初の加速が安定している
- カーブで進路がぶれにくい
- バトンを持っても腕が固まらない
- 決めた手順を守れる
これらの特徴が最初からすべて備わっている必要はなく、スタート練習の成功率やバトンパスの記録を残すことで、短期間でも適性を高められます。
反対に、スタートが得意でもパス直前に後ろを振り返る癖がある人は、第2走者との練習を増やし、相手を見なくても合図と手の位置で渡せる状態をつくることが必要です。
速さ以外も比較する
走順を決める際に100mの記録だけを並べると、第1走者に必要なカーブ走やスタートの安定性が評価されず、チーム全体のタイムが伸びないことがあります。
候補者を同じ条件で数本走らせ、スタートから一定地点までのタイム、走路の乱れ、バトンパスまでの所要時間を比べると、役割への適性を判断しやすくなります。
| 比較項目 | 重視する内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 反応 | 予測せず動ける | 合図を変えて計測 |
| 加速 | 序盤で姿勢が崩れない | 動画で確認 |
| カーブ | レーン中央を保てる | 走路を後方から撮影 |
| パス | 減速せず渡せる | 区間タイムを比較 |
一回のタイムが最も速い人より、複数回の差が小さい人を選ぶと、予選や決勝、運動会本番のように緊張が異なる場面でも計画どおりの走りを期待できます。
走順は選手の優劣を決めるものではなく、それぞれの強みを組み合わせる作業なので、第1走者から外れた人にも、直線での最高速度や競り合いの強さなど、別の区間で生かせる特徴があります。
チーム全体を見て決める
第1走者だけを個別に決めてから残りの走順を当てはめるよりも、誰がどちらの手で受け渡すか、各走者が直線とカーブのどちらを得意とするかを含め、四人の組み合わせとして考えるほうが合理的です。
第1走者と第2走者の走力差が大きい場合は、受け手のスタート位置や合図のタイミングを丁寧に調整しなければ、速い第1走者が追いつきすぎたり、第2走者が先に離れすぎたりします。
また、左右どちらの手でバトンを扱うかを途中で頻繁に変えると、スタート時の持ち方まで不安定になるため、走順を決めた後は一定期間同じ組み合わせで練習することが大切です。
欠席やけがでメンバーが変わる可能性がある学校行事では、予備の組み合わせでも数回は受け渡しを行い、誰が入っても最低限の合図と手の位置がそろうようにしておきます。
最終的には個人の区間タイムだけでなく、バトンを持ってスタートしてから次走者がゾーンを抜けるまでを計測し、チームとして速く安全につながる配置を選びましょう。
スタートを安定させる練習方法

スタート練習は全力で何本も走れば上達するものではなく、姿勢、反応、最初の数歩、加速、カーブ、バトンパスを分けて確かめることが重要です。
疲労が強い状態で回数だけを増やすと、腰が落ちた動きや上体を早く起こす癖を繰り返すことになるため、一本ごとの目的を明確にします。
初心者は短い距離から始め、成功した動きを保ったまま距離と速度を上げていきましょう。
短い距離から組み立てる
最初から第1走者の全区間を全力で走ると、どこで姿勢が崩れたのか判断しにくいため、五メートル、十メートル、二十メートルというように練習範囲を分けます。
短い距離では最高速度を出す必要がなく、号砲を聞いてから動けたか、一歩目で前へ進めたか、左右へぶれなかったかという技術の確認に集中できます。
- 構えだけを繰り返す
- 一歩目で止まる
- 三歩まで加速する
- 十メートルまで走る
- カーブ出口まで伸ばす
一つの段階で動きが安定したら次へ進み、距離を伸ばした途端にフォームが崩れた場合は、疲労の少ない状態で前の段階へ戻ります。
毎回すべてを意識すると動きが硬くなるので、その日は手の位置、次の日は一歩目というようにテーマを絞り、最後にバトンを持った状態で全体をつなげましょう。
目的別に本数を変える
スタート練習は目的によって適切な距離と強度が異なり、反応だけを確認する日に長い全力走を繰り返す必要はありません。
本数は年齢、体力、練習時期によって調整し、走る速度が落ちたり、同じ構えを再現できなくなったりしたら、予定より早く終える判断も必要です。
| 練習 | 主な目的 | 距離の例 |
|---|---|---|
| 合図スタート | 音への反応 | 5〜10m |
| 加速走 | 姿勢の移行 | 20〜30m |
| 曲走路走 | レーンの維持 | 40〜60m |
| パス走 | 第2走者との連係 | 実際のゾーン周辺 |
短い全力走でも神経と筋肉には大きな負荷がかかるため、一本ごとに十分な休息を取り、息が整わないまま次のスタートへ急がないようにします。
タイムだけでなく、成功した本数、失敗した原因、ブロックの設定、天候や路面の状態を記録すると、調子の良し悪しを感覚だけで判断せずに済みます。
バトンを持って仕上げる
個人の短距離スタートが上手でも、バトンを持つと手のつき方や腕振りが変わるため、最終段階では必ず実際のリレーと同じ手でバトンを持って走ります。
最初はバトンを持ったまま構えて数歩進む練習を行い、落とさず走ることができたら、カーブ走、第2走者への合図、受け渡しまでを順番に加えます。
第2走者との練習では、受け手だけを修正するのではなく、第1走者の走りが毎回同じか、合図の声量が変わっていないか、バトンを差し出す位置が上下していないかも確認します。
日本陸連の中学生向け指導資料では、ジョギング、テンポ走、全力走へ段階的に速度を高める方法が示されており、遅い速度で形を整えてから実戦速度へ移る考え方は初心者にも適しています。
大会直前に新しい渡し方へ変更すると判断が遅れやすいため、仕上げ期は技術を増やすより、決めた方法の成功率を高め、多少タイミングがずれても安全につなげる練習を優先しましょう。
本番で起こりやすい失敗を防ぐ

本番の失敗は技術不足だけでなく、緊張によって普段とは違う行動を選ぶことで起こります。
いつもより深く構える、号砲を予測する、序盤から全力で腕を振り回す、バトンパス前に後ろを見るといった変更は、良い結果を狙った行動でも走りを不安定にします。
起こりやすい失敗と対処を事前に知り、異変があっても一つの動作に戻れるようにしましょう。
焦りによる動きを減らす
第1走者はレースの開始を任されるため、自分が出遅れたら全員に迷惑をかけると考えやすいものの、その焦りが号砲前の力みやフライングにつながることがあります。
責任を強く感じたときは、勝敗や順位ではなく、構える、音を聞く、地面を押すという自分で実行できる行動へ意識を戻します。
- 息を長く吐く
- 肩を一度下げる
- 視線を定める
- 合図を聞いてから動く
- 最初の三歩に集中する
緊張を完全になくそうとすると、緊張している事実が気になってしまうため、心拍数が上がっていても決めた手順は行えると考えるほうが現実的です。
待機時間が長い大会では身体が冷えやすいので、招集後に許される範囲で足首や股関節を動かし、スタート直前だけ急に大きな運動を始めないようにします。
症状から原因を探す
スタートがうまくいかなかったときに反応が遅かったと決めつけると、次の走りで号砲を予測しやすくなるため、実際にどの局面で差が生まれたかを分けて考えます。
可能であれば横と後方から動画を撮り、号砲後に手が離れるまで、一歩目の接地、上体の起き方、カーブでの進路を順番に確認しましょう。
| 症状 | 考えられる原因 | 修正の方向 |
|---|---|---|
| 一歩目が遅い | 後ろ足が遠い | ブロック間隔を見直す |
| 身体が浮く | 顔を早く上げる | 近い前方を見る |
| 足が流れる | 大股を狙いすぎる | 接地を身体へ近づける |
| 外側へ膨らむ | 視線が近すぎる | レーンの先を見る |
原因は一つとは限らず、ブロックの設定が合わないことで一歩目が遅れ、その遅れを取り戻そうとして歩幅が広がるというように、複数の問題が連続する場合があります。
一度にすべて直そうとせず、最も早い段階で起きた問題から修正すると、その後の姿勢や歩幅も自然に改善する可能性があります。
バトンパスで減速しない
第2走者へ確実に渡そうとして早い段階から速度を落とすと、追いつく位置が変わり、練習で合わせたスタートマークや合図が機能しなくなります。
第1走者はパス直前まで自分の走りを続け、第2走者は前走者が決めた位置へ来た時点で加速を始めるという役割を明確にします。
受け手の手がすぐに出なかった場合も、慌てて身体の横からバトンを投げ込むのではなく、チームで決めた合図を使い、走路の範囲内で安全に渡せる位置を探します。
公式競技ではゾーン外の受け渡しが失格につながるため、練習時から入口と出口を目印で示し、バトンに触れ始める地点と完全に渡り切る地点の両方を確認する必要があります。
成功率が低いときはマークを感覚だけで動かさず、第1走者の到達時間、第2走者の加速、受け渡し地点を記録し、どちらの動きを調整するかを話し合いましょう。
種目や大会に合わせて走り方を変える

一口にリレーの第1走者といっても、陸上競技の4×100m、4×400m、運動会のトラックリレー、直線を往復するリレーでは、スタート方法や走る距離が異なります。
競技場で使える技術が学校行事でもそのまま最適とは限らず、立ちスタートの指定、バトンの種類、コース幅、コーナーの形に合わせた準備が必要です。
まず大会要項と先生や審判の説明を確認し、その条件の中で安全に速く走れる方法を選びましょう。
種目の違いを確認する
4×100mでは第1走者が短距離型のスタートから曲走路を走り、高い速度を保ったまま第2走者へつなぐことが中心になります。
4×400mでは一周を走るため、スタート直後の加速だけで力を使い切らず、前半の速度、後半の疲労、バトンパスまでを含めた配分が必要です。
- 4×100mは加速と曲走路を重視する
- 4×400mは速度配分を重視する
- 運動会はコースの安全を優先する
- 往復リレーは折り返しを確認する
- 混成リレーは走順の規定を確かめる
同じ第1走者でも求められる能力が異なるため、短いリレーで成功した走り方を長いリレーへそのまま持ち込まず、区間距離に合わせて力の使い方を調整します。
大会によって独自のルールが設けられることもあるので、一般的な知識より当日の競技規定を優先し、不明点はスタート地点へ入る前に担当者へ確認しましょう。
スタート方式に適応する
陸上競技ではスターティングブロックを使う場合がある一方、体育祭や地域行事では立ちスタート、片手を地面につく姿勢、独自のスタート位置が指定されることがあります。
立ちスタートでは重心を前へ移しすぎると静止できず、後ろへ残しすぎると一歩目が前へ出ないため、前足で地面を押しやすく、合図まで動かず保てる位置を探します。
| 方式 | 準備の要点 | 注意点 |
|---|---|---|
| ブロックスタート | 設定を記録する | 当日の変更を避ける |
| 立ちスタート | 前後の足を固定する | 重心をかけすぎない |
| 片手支持 | バトン側を確かめる | 手元を窮屈にしない |
| 一斉スタート | 進路を先に見る | 接触を避ける |
本番とは異なる方式だけで練習していると、構えた瞬間に迷いが生じるため、少なくとも最後の数回は実際の合図、姿勢、バトン、コースを再現します。
スタート方法が直前に変更された場合は、速く見える新しいフォームを試すのではなく、静止できること、前へ一歩出られること、他の走者と接触しないことを優先しましょう。
路面と天候へ対応する
雨天や湿った路面では、晴天時と同じ角度で強く蹴ろうとすると足が滑る可能性があるため、ウォーミングアップで接地の感触を確かめます。
寒い日は待機中に筋肉が冷えやすく、暑い日は水分不足や過度なウォーミングアップが負担になるため、気温に合わせて準備の量を調整する必要があります。
向かい風でもスタートの動作を大きく変える必要はありませんが、上体を無理に低く保ち続けず、腕振りと接地のリズムを守って加速をつなげます。
運動会の土のコースではライン付近が柔らかい場合や、小石、くぼみが残っている場合があるため、競技前に自分のレーンを歩き、安全な進路とバトンパス地点を確認します。
条件が悪いほど一発の鋭さより再現性が重要になるため、滑りそうなときは歩幅を無理に広げず、身体の近くへ接地して確実に速度を上げましょう。
安定したスタートから次走者へつなげよう
リレーの第1走者がスタートで意識したいのは、号砲を予測して最速の一歩を狙うことではなく、合図を聞いてから、練習で決めた姿勢と順番を正確に再現し、数歩かけて滑らかに加速することです。
ブロックや足の位置を体格に合わせ、バトンを必要以上に握り締めず、序盤で上体を急に起こさないようにすれば、カーブへ速度をつなげやすくなり、レーンから外れる不安も減らせます。
第1走者の役割はスタートだけで終わらず、第2走者が加速した状態で受け取れるように、パス直前まで走るテンポを保ち、決めた合図と手の位置でバトンを渡すところまで続きます。
練習では短い距離で構えと一歩目を整え、加速走、曲走路走、バトンを持った走り、実際の受け渡しへ段階的に進み、タイムだけでなく成功率や動作のばらつきも記録しましょう。
本番では他チームの速さや声援に意識を奪われず、足元を確かめ、呼吸を整え、音を聞き、前へ押すという自分の行動に集中することが、安定したスタートとチーム全体の好記録につながります。



