陸上の大会当日は、朝が早いうえに招集、ウォーミングアップ、競技、クールダウンが続くため、普段の昼食と同じ感覚で大きなお弁当を用意しても、食べる時間を確保できなかったり、緊張で食欲が落ちたりすることがあります。
特に予選と決勝がある選手、複数種目へ出場する選手、待ち時間が長いフィールド種目の選手は、決まった時刻に一度で食べるのではなく、競技までの残り時間や空腹感に合わせて少量ずつ補給できる形にしておくことが重要です。
食べやすい大会用のお弁当は、見栄えや品数よりも、エネルギー源になる主食が十分にあり、脂質が多すぎず、手を汚さず短時間で食べられ、普段から食べ慣れているという条件を優先して組み立てます。
ここでは、おにぎりやサンドイッチを中心とした具体的な献立、競技時刻から逆算する食べ方、短距離や長距離などの種目別の調整方法、夏の競技場で安全に持ち運ぶための保存対策まで、選手と保護者が当日の行動へ落とし込めるように詳しく紹介します。
陸上の大会当日に食べやすいお弁当は主食中心で小分けが正解

陸上の大会へ持っていくお弁当は、小さめのおにぎり、脂質を抑えたサンドイッチ、カステラ、バナナ、エネルギーゼリーなどを組み合わせ、競技時刻に応じて必要な分だけ取り出せる形が適しています。
通常の昼食のように主食、主菜、副菜を一つの箱へ詰め込むと、招集まで時間がない場面で食べ切れず、残った料理の衛生管理にも困りやすいため、主食と補食を個包装または小さな容器へ分けておくと扱いやすくなります。
日本陸上競技連盟の試合時の食事に関する資料でも、試合の三時間から四時間前までに主食をしっかり取り、おかずは少なめで消化のよいものを選ぶ考え方が示されているため、まずは食べる時刻と主食量から献立を決めましょう。
小さめのおにぎり
大会当日の主食として最も取り入れやすいのは、片手で持てて数口で食べられる小さめのおにぎりであり、一個を大きく作るよりも、同じごはん量を二個から四個に分けたほうが競技間の補給量を調整しやすくなります。
具は梅、鮭、昆布、おかか、塩むすびなど普段から食べ慣れたものを選び、脂質の多いマヨネーズ系、傷みやすい生もの、汁気の多い具材は避けると、胃への負担と持ち運び中の衛生面の両方に配慮できます。
- 塩むすび
- 焼き鮭
- 梅干し
- おかか
- 昆布
朝食後から最初の競技まで長く空く場合は競技の二時間から三時間ほど前に一個から二個を目安に食べ、競技まで一時間を切っている場合は一度に詰め込まず、空腹感と腹部の状態を見ながら量を減らします。
海苔がのどへ張りつきやすい選手や緊張すると口が乾く選手は、海苔を巻かない塩むすびにするか、海苔を別添えにすると食べやすくなり、ラップで一個ずつ包んでおけば手洗い場所が混雑している会場でも食品へ直接触れずに食べられます。
具を絞ったサンドイッチ
パンを好む選手には、食パンやロールパンへ具を少量挟んだサンドイッチが向いており、ごはんよりも口へ運びやすいと感じる人や、移動中の車内で朝食の一部を取る必要がある人にも便利です。
大会前の補給を目的にする場合は、ハムと薄焼き卵、ジャム、少量のチーズなど具材を絞り、揚げ物、たっぷりのマヨネーズ、生クリーム、バターの多い菓子パンのような脂質の多い組み合わせは控えます。
野菜を多く挟むと健康的に見えますが、レタスやきゅうりから水分が出るとパンが崩れやすく、食物繊維の量が増えることで競技前におなかが張る選手もいるため、野菜は大会後の食事で補うと割り切る考え方も必要です。
食べる直前まで保冷し、一切れを小さくしてラップで個別に包めば、招集時刻が早まったときは一切れだけ食べ、残りを次の競技後へ回せるため、大会の進行に合わせやすいお弁当になります。
卵やハムを使う場合は中心まで十分に加熱し、作った直後の温かい状態で包まず、清潔な場所で完全に冷ましてから包装することが欠かせません。
カステラやシンプルなパン
カステラ、あんパン、ジャムパン、シンプルなロールパンは、固形物をたくさん食べられない場面でも糖質を補いやすく、競技場で長時間待つ日の予備食として持っておくと役立ちます。
お弁当の主食をすべて甘い食品へ置き換えるのではなく、食事としてのおにぎりやサンドイッチを基本にしながら、競技の一時間から二時間ほど前や予選後の空腹をつなぐ補食として使うと位置づけが明確になります。
デニッシュ、クロワッサン、クリームを多く使ったパンは口当たりがよくても脂質が多くなりやすく、食後に胃が重くなる選手もいるため、初めて食べる商品を本番で試さず、練習日や記録会で体調を確認しておきます。
カステラは一切れずつ、パンは半分ずつ包装しておくと食べ過ぎを防ぎやすく、競技前に一袋を開けたから全部食べなければならないという心理的な負担も小さくできます。
口の中が乾燥しやすい食品でもあるため、一気に流し込まず、少量の水や普段飲み慣れた飲料と一緒にゆっくり食べることが大切です。
バナナや食べ慣れた果物
バナナは皮をむくだけで食べられ、包丁や箸を必要としないため、招集前の短い時間でも利用しやすく、おにぎりを食べるほどの空腹ではないもののエネルギーを補いたい場面に適しています。
一本を食べ切れない選手には小さめのバナナを選び、競技まで時間があるときはおにぎりと組み合わせ、時間が迫っているときは半分程度にするなど、胃の状態へ合わせて量を変えます。
カットしたりんごやオレンジも候補になりますが、切った果物は水分が出やすく温度管理も必要になるため、清潔な別容器へ入れ、保冷剤の近くで保存し、早い時間帯に食べ切る計画を立てなければなりません。
冷たい果物を大量に食べると腹部が冷えたり、水分の多さで満腹になったりする選手もいるため、果物だけで昼食を済ませるのではなく、主食を食べるための補助として使います。
柑橘類の酸味が競技前に気になる人や、バナナの食感が苦手な人もいるので、一般的に勧められる食品であっても本人が普段から問題なく食べていることを優先しましょう。
エネルギーゼリー
エネルギーゼリーは食欲がないときでも口にしやすく、競技までの時間が短い場面や、予選と決勝の間に固形物を受け付けにくい場面で、補助的なエネルギー源として活用できます。
ただし、ゼリーだけでは噛む食事よりも満腹感が続きにくく、商品によってエネルギー量や糖質量が大きく異なるため、パッケージの表示を確認せずにおにぎり一個と同じだと考えないようにします。
競技当日に初めて飲むと、甘さ、濃度、冷たさが合わなかったり、一気に飲んで腹部へ違和感が出たりすることがあるので、練習や小規模な記録会で摂取する時刻と量を試しておくことが重要です。
ゼリーを主食の代用品として一日中使うのではなく、朝食と競技三時間ほど前の食事はできるだけ通常の食品で確保し、時間がない部分を補う道具として持っていくと栄養計画が崩れにくくなります。
冷やしすぎたゼリーを勢いよく飲むと腹部が驚く選手もいるため、保冷バッグから出した直後に一気飲みせず、少しずつ口へ含みながら体調を確かめます。
卵焼きや脂身の少ない肉
競技まで三時間以上あり、主食だけでは空腹が続きそうな場合は、よく加熱した卵焼き、脂身の少ない鶏肉、少量の焼き魚などを小さなおかずとして加えると、食事としての満足感を得やすくなります。
おかずは主食より多くしないことが大切であり、大きな唐揚げ、ハンバーグ、ウインナーを何個も詰める一般的な行楽弁当は、脂質が多くなりやすいうえ、食べ終わるまでに時間がかかります。
卵料理は半熟を避け、肉や魚も中心まで十分に火を通し、煮物を入れる場合は汁気をしっかり切るなど、大会で長く持ち歩くことを前提にした調理方法を選びます。
競技まで一時間程度しかない場面では、たんぱく質のおかずを無理に追加するより、おにぎりの量を減らすかゼリーなどへ切り替え、競技終了後に主食とたんぱく質を組み合わせて補うほうが食べやすいことがあります。
普段から肉類を食べると胃が重くなる選手は、周囲の献立に合わせず、卵焼きを一切れにするなど本人が安心できる内容へ調整しましょう。
飲料を組み合わせた補給
お弁当を食べるときは水分も必要ですが、一度に大量の飲料を流し込むと胃が膨らみ、主食を食べられなくなることがあるため、起床後から競技まで少量ずつ飲む流れを作っておきます。
基本の飲料は水やお茶とし、暑い時期や発汗量が多い種目では、普段から使用しているスポーツ飲料も組み合わせますが、濃い甘さが口へ残る人は商品や濃度を本番前に確かめます。
果汁百パーセント飲料は糖質を補う選択肢になりますが、酸味で胃が刺激される人や、一度に飲むとおなかが緩くなる人もいるため、少量パックを選び、本人の相性を優先します。
牛乳や飲むヨーグルトは競技後の補食として利用しやすい一方、乳製品で腹部に症状が出やすい選手が競技前に試すのは避け、必要な場合は大会終了後や帰宅途中へ回します。
飲み物は大容量の一本だけでなく、小さなボトルを複数用意すると、競技場内へ持っていく分と保冷バッグへ残す分を分けられ、衛生的にも管理しやすくなります。
迷ったときの組み合わせ例
大会用のお弁当に必要な量は、選手の体格、年齢、競技数、朝食量、会場へいる時間によって変わるため、全員に同じ個数を当てはめるのではなく、食事用と補食用を分けて準備します。
次の表は献立を決めるための基本例であり、表にある食品をすべて食べるのではなく、競技時刻と空腹感に応じて必要な組み合わせを選ぶための目安として使います。
| 場面 | 主食の例 | 追加する食品 | 避けたい内容 |
|---|---|---|---|
| 競技三時間以上前 | 小さなおにぎり二個 | 卵焼き、バナナ | 揚げ物の詰め合わせ |
| 競技二時間前 | おにぎり一個 | 少量の果物 | 大盛りのおかず |
| 競技一時間前 | カステラ少量 | ゼリー、水分 | 脂質の多い菓子パン |
| 競技終了直後 | おにぎり一個 | 乳製品、果汁飲料 | 補給せず長時間移動 |
午前と午後に競技がある日は、おにぎりを昼食分と競技後分に分け、カステラやゼリーを招集前の調整用として別袋へ入れておくと、食べる順番を本人が判断しやすくなります。
保護者が多めに用意する場合も、完食を求めるのではなく、余った分を安全に持ち帰れるように保冷を続け、本人が満腹や腹部の違和感を訴えたときは無理に食べさせないことが大切です。
大会時刻から逆算すると食べる量を決めやすい

食べやすい食品をそろえても、競技直前に一度で食べたり、空腹のまま招集へ向かったりすると、本来の使いやすさを生かせないため、最初の競技時刻から逆算して朝食、お弁当、補食の時刻を決めます。
基本は競技の三時間から四時間前に主食を含む食事を終え、その後は残り時間が短くなるほど量を小さくし、消化しやすく普段から慣れた食品へ切り替える考え方です。
競技開始時刻だけでなく、招集、競技場への移動、ウォーミングアップ開始の時刻も含め、実際に食べられる最後の時間を予定表へ書いておくと、当日の慌ただしさで補給を忘れにくくなります。
三時間から四時間前の食事
競技の三時間から四時間前は、おにぎりやパンなどの主食を中心に、少量のおかずを組み合わせる時間帯であり、早朝の競技なら自宅での朝食、午後の競技なら会場で食べるお弁当がこの食事に当たります。
満腹になるまで詰め込むのではなく、普段の練習前に問題なく動けている量を基準にし、緊張で消化に時間がかかりそうな日は、同じ量を二回へ分ける方法も検討します。
| 競技開始 | 主な食事時刻 | 献立の例 |
|---|---|---|
| 午前九時 | 午前五時台 | ごはん、卵、バナナ |
| 正午 | 午前八時台 | 朝食を十分に取る |
| 午後三時 | 午前十一時ごろ | おにぎり、卵焼き、果物 |
| 午後六時 | 午後二時ごろ | 小分けの昼食 |
早朝に十分な量を食べられない選手は、起床直後にすべてを食べようとせず、自宅で少量を取り、移動後に残りを食べる二段階の朝食にすると負担を減らせます。
ただし移動中に食べる場合は乗り物酔いとの相性もあるため、車内で初めて試すのではなく、練習日にも同じ時間帯と食品で確認しておきましょう。
一時間から二時間前の補食
競技の一時間から二時間前は、大きなお弁当を食べる時間ではなく、空腹を抑えてエネルギーを補う時間と考え、小さなおにぎり、カステラ、バナナ、ゼリーなどから一つを選びます。
ウォーミングアップを始めると食べる機会がなくなることもあるため、競技開始時刻だけでなくアップ開始時刻を基準にし、走り始める直前まで食べ続けないようにします。
- 小さなおにぎり一個
- カステラ一切れ
- バナナ半分から一本
- エネルギーゼリー
- ジャムパン半分
複数の食品を一度に取る必要はなく、朝食や昼食を十分に食べていて空腹がなければ、水分補給だけで様子を見る選択もあります。
一方で緊張すると空腹を感じにくい選手は、感覚だけに任せると長時間補給を忘れるため、予定時刻になったら少量を口へ入れるという自分なりの決まりを練習段階から作っておきます。
競技終了後の回復食
競技終了後は結果の確認、着替え、応援、ミーティングが続いて食事が後回しになりやすいため、すぐに食べられるおにぎり、パン、バナナなどを終了後用として最初から別袋へ分けておきます。
次の競技がある場合は、主食になる食品を優先し、時間に余裕があれば牛乳、飲むヨーグルト、卵、脂身の少ない肉などを組み合わせて、エネルギーと体づくりに必要な栄養を補います。
大会が終わったからといって補食だけで夕食を済ませるのではなく、帰宅後は主食、主菜、副菜、乳製品や果物を組み合わせた通常の食事へ戻し、一日を通した不足を補うことが大切です。
終了直後に食欲がない選手は飲料やゼリーから始め、体が落ち着いてからおにぎりを食べるなど段階を分け、無理に固形物を押し込まないようにします。
夕方まで競技場へ残る場合は、朝から持ち歩いた手作り食品の状態を確認し、保冷が不十分だったものや、においと味に違和感があるものは食べない判断も必要です。
種目とラウンド数に合わせて中身を変える

同じ陸上競技でも、短時間で力を発揮する短距離、長く走る中長距離、待機時間が読みにくい跳躍や投てき、複数種目を行う混成競技では、食べられる時刻と適した量が異なります。
種目名だけで献立を決めるのではなく、予選から決勝までの間隔、招集場所までの距離、アップにかかる時間、緊張したときの食欲などを含め、本人の一日の流れへお弁当を合わせます。
初めて出場する大会では詳細な進行を読みにくいため、食事用の主食、短い間隔用の補食、終了後の回復食という三種類を準備しておくと予定変更にも対応しやすくなります。
短距離や跳躍種目
短距離、ハードル、跳躍種目は競技時間そのものが短くても、招集、待機、助走確認、ウォーミングアップに時間がかかるため、競技直前ではなくアップへ入る前までに補給を終える必要があります。
満腹感が残ると動きにくいと感じる選手が多いため、競技まで三時間以上ある段階で主食を取り、その後は空腹が出た場合だけ少量の補食を加える形が扱いやすくなります。
- 食事はアップ開始前に終える
- 補食は少量に分ける
- 脂質の多い食品を控える
- 飲料の一気飲みを避ける
- 決勝用の補食を別に残す
予選通過後は気持ちが高ぶって食欲を感じないことがありますが、決勝まで数時間空く場合は、水分だけで過ごさず、小さなおにぎりやゼリーなど食べ慣れたものを少量補います。
跳躍では競技時間が予定より長引くこともあるため、荷物置き場や選手待機場所の飲食ルールを事前に確認し、許可された範囲で取り出しやすい補食を準備しましょう。
中距離や長距離種目
中距離や長距離では走行中の腹部不快感を避けたい一方、エネルギー不足にも注意が必要なため、競技の数時間前に主食を確保し、直前になるほど量と固形物を減らす調整が重要です。
食物繊維、脂質、香辛料が多い食品でおなかが動きやすくなる選手は、大会当日だけ極端な制限をするのではなく、普段のポイント練習や記録会で何をいつ食べると調子がよいかを記録します。
| 残り時間 | 選びやすい食品 | 量の考え方 |
|---|---|---|
| 三時間以上 | おにぎり、パン、少量のおかず | 食事として取る |
| 二時間前 | 小さなおにぎり、バナナ | 空腹に応じて調整 |
| 一時間前 | ゼリー、カステラ少量 | 食べ慣れた最小量 |
| 競技後 | おにぎり、乳製品 | 早めに補う |
長距離選手だからといって大会当日だけ大盛りのごはんを食べると、胃腸へ負担がかかる場合があるため、エネルギーを確保する取り組みは前日までの食事を含めて行います。
スタート前の補給方法には個人差が大きいので、周囲の選手が使っている商品をその場でもらって試さず、自分が練習で確認した食品を使うことが基本です。
予選と決勝がある日
予選と決勝がある日は、昼食を一度で食べるより、予選前の食事、予選後の補食、決勝後の回復食へ分けるほうが、競技間隔に合わせて必要量を調整できます。
予選終了後に決勝時刻を確認してから、三時間以上空くなら小さなおにぎりと少量のおかず、二時間ほどならおにぎり一個、一時間程度ならゼリーやカステラというように段階的に選びます。
日本陸上競技連盟による混成競技の紹介でも、競技の合間に飲食するタイミングを逃すとエネルギー不足や腹痛につながる可能性が示されており、長い大会ほど事前の補給計画が重要です。
決勝進出が決まった喜びで仲間との会話や応援を優先し、何も食べないまま次のアップへ入る失敗が起きやすいため、予選後に最初に行う行動として、水分、着替え、補食の順番を決めておきます。
一日に何度も補食すると夕食が入らなくなる場合もあるので、一回量を小さくし、競技後は空腹の程度を確認しながら通常の食事へ戻しましょう。
会場の暑さを考えた保存対策が欠かせない

屋外の陸上競技場は、春や秋でも日なたのテント内や車内の温度が上がりやすく、朝に作ったお弁当を昼過ぎや夕方まで常温で置くことは安全とはいえません。
手作りのおにぎり、卵料理、肉、サンドイッチ、切った果物などは保冷バッグと保冷剤を使い、食べる分だけ取り出し、残りはできるだけ低温の状態へ戻します。
暑さ対策は食べ物を冷やすことだけではなく、調理時に菌を付けない、中心まで加熱する、余分な水分を残さない、十分に冷ましてから詰めるという準備段階から始まります。
保冷バッグの詰め方
保冷バッグは食品を入れるだけの袋ではなく、冷たい空気を保つための道具なので、容量に対して食品が少なすぎる場合は隙間を保冷剤で補い、開閉する回数を減らします。
冷気は下へたまりやすいものの、外気や日光の影響は上部からも受けるため、保冷剤を食品の上と横へ配置し、バッグ自体をテントの外側や車内へ放置しないことが重要です。
| 位置 | 入れるもの | 役割 |
|---|---|---|
| 上部 | 大きめの保冷剤 | 上から冷気を送る |
| 中央 | 弁当と補食 | 食品をまとめる |
| 側面 | 小さな保冷剤 | 外気の影響を抑える |
| 別ポケット | ごみ袋、消毒用品 | 食品との接触を防ぐ |
凍らせた飲料を保冷剤代わりにする方法は便利ですが、必要な時刻に完全に解凍されないこともあるため、飲用する水分は別に確保し、凍結ボトルだけへ頼らないようにします。
食べ終えた容器やごみは未開封の食品と分け、汚れた手で保冷バッグの中を何度も触らないよう、小さなごみ袋も一緒に用意しましょう。
調理時の食中毒対策
大会用のお弁当は調理から食べるまでの時間が長いため、手洗い、器具の洗浄、十分な加熱、冷却、保冷という基本を省かず、作り置きを使う場合も詰める前に再加熱します。
農林水産省のお弁当づくりによる食中毒予防情報では、卵料理を完全に固まるまで加熱すること、汁気を切ること、温かい料理を冷ましてから詰めること、長時間持ち歩く際に保冷剤を使うことなどが案内されています。
- 調理前に手を洗う
- 肉と野菜の器具を分ける
- 卵は半熟にしない
- おかずの汁気を切る
- 冷ましてからふたをする
- 保冷して早めに食べる
梅干しを入れればお弁当全体が安全になる、濃い味付けなら常温でも大丈夫という考え方は避け、個々の食品を衛生的に調理して低温で保つことを優先します。
食べる前には手を洗うか適切な方法で手指を清潔にし、におい、味、見た目に少しでも違和感がある食品は、もったいないと感じても口にしないことが大切です。
雨天や猛暑日の調整
雨の日は気温が低くても湿度が高く、バッグや包装がぬれて衛生的に扱いにくくなるため、食品は密閉できる袋へまとめ、ぬれたタオルや競技用具と同じ区画へ入れないようにします。
猛暑日は冷たい食品ばかりを選びたくなりますが、冷えた飲料やゼリーを一気に取ると腹部へ負担を感じる選手もいるので、保冷は続けながら少量ずつ摂取します。
会場に冷蔵庫や売店があるとは限らず、売店があっても混雑や売り切れが起こる可能性があるため、最低限の主食、水分、補食は自分で持参し、現地調達だけに頼らない計画が安心です。
雷雨や進行の遅れで競技時刻が変更された場合は、予定時刻どおりに全量を食べず、新しい開始時刻から逆算し直して、おにぎり一個分を二回へ分けるなど柔軟に調整します。
熱中症が疑われる体調不良、繰り返す嘔吐、強い腹痛、意識の異常などがある場合は、食事で様子を見続けず、大会スタッフや医療担当者へ速やかに相談してください。
事前準備で当日の食べにくさを防げる

大会用のお弁当で起こる失敗の多くは、栄養知識の不足よりも、食べる順番が決まっていない、包装が開けにくい、箸を忘れた、保冷剤が足りないといった準備上の問題から生じます。
前日の夜にタイムテーブルを見ながら食品を役割別に分け、朝食後、最初の競技前、競技間、終了後のどこで食べるものかを袋へ表示すると、中学生や高校生でも自分で判断しやすくなります。
保護者が用意する場合は、たくさん食べさせることを目的にせず、選手本人が開けやすく、持ち歩きやすく、食欲に応じて残せる量と包装を選ぶことが重要です。
よくある失敗
大会当日の代表的な失敗は、縁起を担いで食べ慣れない料理を用意する、昼食を一箱へ詰めて小分けにしない、競技直前に空腹へ気づいて大量に食べるといった行動です。
揚げ物中心の豪華なお弁当や、大量の野菜を使った弁当は日常の昼食としては魅力的でも、短時間で食べてすぐに体を動かす大会では、本人にとって負担になることがあります。
- 大きなおにぎりだけを持たせる
- 初めての商品を本番で試す
- 競技直前まで食べ続ける
- 甘い飲料だけで一日を過ごす
- 保冷せず車内へ置く
- 食べ残しを何度も出し入れする
食べ切れなかったことを失敗と考えるのではなく、競技間隔の変更や緊張へ対応できた結果と捉え、次回は余った食品、食べやすかった食品、食べた時刻を記録して量を調整します。
大会後に腹痛や強い胃もたれが出た場合は、食品の種類だけでなく、食べた量、時刻、気温、水分量、緊張の程度まで振り返ると、本人に合った方法を見つけやすくなります。
持ち物の確認
お弁当の中身が適切でも、箸、飲料、保冷剤、ごみ袋などが不足すると会場で食べにくくなるため、食品とは別に大会用の食事セットを作り、毎回同じ場所へ収納します。
小学生や中学生は競技用の荷物だけでも多くなるので、すべてを大きな保冷バッグへ入れず、競技場内へ持つ補食と、保護者席やチームテントへ残す食事を分ける方法も便利です。
| 分類 | 持ち物 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 食品 | 主食、補食、回復食 | 食べる順番を表示 |
| 飲料 | 水、競技用飲料 | 必要量と予備 |
| 衛生 | 保冷剤、袋、清潔な箸 | 食品とごみを分離 |
| 記録 | タイムテーブル | 招集とアップ時刻 |
個包装を開けるために毎回はさみが必要な状態は避け、本人が競技用の手袋やテーピングをしていても開けやすい包装かどうかを出発前に確認します。
アレルギーがある選手は、チームメートから食品をもらわず、自分の食品が分かる表示を付け、緊急時の対応についても指導者と事前に共有しておきましょう。
練習日に予行する
大会で最も信頼できるお弁当は、栄養価だけを計算して初めて作った献立ではなく、普段の練習や記録会で同じ時間帯に食べ、走ったときの感覚まで確認できている献立です。
休日のポイント練習を本番と同じ時刻に設定できるなら、三時間前におにぎりと卵焼き、一時間前にカステラ、終了後におにぎりと乳製品というように、食事計画も再現します。
確認する項目は、空腹になった時刻、食べた量、胃の重さ、口の乾き、便意、ウォーミングアップ中の動きやすさ、練習後の食欲であり、簡単なメモを残すだけでも次回の判断材料になります。
成長期の選手は体格や練習量が変化するため、一度決めた個数を何年間も固定せず、食後すぐ空腹になる、体重が大きく減る、疲労が抜けないといった変化があれば日常の食事も含めて見直します。
慢性的な腹痛、食物アレルギー、糖代謝に関する病気、極端な食事制限、体重や月経に関する悩みがある場合は、自己流の大会食だけで対応せず、医師や公認スポーツ栄養士などの専門家へ相談しましょう。
当日は食べ慣れた主食を少量ずつ補給しよう
陸上の大会当日に食べやすいお弁当は、小さなおにぎりや具を絞ったサンドイッチを中心にし、カステラ、バナナ、エネルギーゼリーなどを補食として分けて持つ構成が基本です。
競技の三時間から四時間前には主食を含む食事を取り、その後は競技までの時間が短くなるほど一回量を減らし、予選後や大会終了後にも早めに補給できる分を残しておきます。
献立を豪華にすることより、普段から食べ慣れていること、片手で短時間に食べられること、脂質や汁気が多すぎないこと、競技時刻に合わせて必要量だけ取り出せることを優先すると、緊張や予定変更にも対応しやすくなります。
手作り食品は十分に加熱して冷ましてから詰め、保冷バッグと保冷剤で低温を保ち、本人が食べた時刻と体調を大会後に振り返りながら、次の大会でより食べやすい量と組み合わせへ調整していきましょう。



