陸上スパイクを探していると、土用、タータン用、オールウェザー専用、土トラック兼用といった表記が並び、どれを選べば学校の練習と競技場の大会の両方で使えるのか迷いやすくなります。
見た目が似ているモデルでも、対応する路面、靴底の構造、プレートの硬さ、装着できるピンの種類が異なるため、価格やデザインだけで選ぶと、練習場所で使用できなかったり、足に強い負担がかかったりする可能性があります。
特に理解しておきたいのは、兼用スパイクとは同じピンを土とタータンの両方で使う製品ではなく、路面に合わせてピンや付属部品を交換することで、シューズ本体を両方の環境に対応させられるモデルだという点です。
土の学校グラウンドで日常的に練習する中学生や高校生、オールウェザートラックで大会に出る選手、専門種目がまだ決まっていない初心者まで、自分の利用環境に合う種類を判断できるように、構造の違いからピンの選び方、競技規則、購入後の扱い方まで順番に整理します。
陸上スパイクの土用・タータン用・兼用の違い

陸上スパイクの違いを端的に示すと、土用は柔らかい土の路面へピンを深く刺して滑りを抑える種類、タータン用は合成ゴム系のオールウェザートラックで反発と接地の速さを生かす種類、兼用は部品を交換して両方の路面へ対応できる種類です。
ただし、違いは付属しているピンだけではなく、靴底の耐久性、ラバーの配置、プレートの硬さ、かかとの厚さ、対応種目にも及ぶため、タータン専用スパイクへ土用ピンを取り付ければ土でも使えるという単純な関係ではありません。
最初に三つの種類の基本を把握し、自分が普段どこで練習し、どの種目へ出場し、どの程度スパイクに慣れているかを重ね合わせると、必要以上に高価で硬いモデルを選ぶ失敗を避けやすくなります。
路面によって名称が変わる
陸上用品で使われる土用とは、学校の土グラウンドやアンツーカートラックに対応するスパイクを指し、タータン用とは、一般に競技場で使われる合成ゴム系の全天候舗装であるオールウェザートラックに対応するスパイクを指します。
タータンという言葉は競技者の間で広く使われていますが、商品説明や大会の案内ではオールウェザーという表現が使われることも多いため、タータン専用とオールウェザー専用は基本的に同じ路面区分を示す言葉として読み替えられます。
| 表示 | 主な使用場所 | 基本的な特徴 |
|---|---|---|
| 土用 | 学校の土グラウンド | 尖った土用ピンを使用 |
| タータン用 | オールウェザートラック | 平行系の短いピンを使用 |
| 兼用 | 土とオールウェザー | 路面ごとに部品を交換 |
学校のグラウンドが茶色く見えても、締め固められた一般的な土、アンツーカー、全天候舗装の一部など状態はさまざまなので、判断できない場合は顧問、施設管理者、競技用品店へ確認してからピンを選ぶことが安全です。
商品の箱やメーカーサイトでは、オールウェザー専用、オールウェザー・土トラック兼用、アンツーカー用といった表記を探し、見た目の印象ではなくメーカーが示す対応路面を購入判断の基準にしてください。
土用は柔らかい路面を捉える
土用スパイクは、柔らかく崩れやすい路面でもスタートや加速時に足が後方へ滑らないように、先端が尖った比較的長いピンを地面へ刺し、踏み込んだ力を前進へつなげやすくすることを目的としています。
シューズ本体も土による摩耗やねじれを想定し、前足部以外へラバーを配置したり、タータン専用の上級モデルより曲げやすいプレートを採用したりする製品が多く、日常練習で扱いやすい耐久性と安定性が重視されています。
一方で、長く尖った土用ピンをオールウェザートラックで使うと、舗装へ必要以上に深く刺さって路面を傷つけるだけでなく、足を引き抜く際の抵抗が増え、足首、ふくらはぎ、アキレス腱などへ余計な負担をかけるおそれがあります。
土用スパイクを選ぶ場合でも、路面が硬く乾いている日と雨で柔らかくなった日では適切なピンの長さが変わるため、長いピンほど速く走れると考えず、メーカーの推奨と練習場所の規定を優先する必要があります。
タータン用は反発を生かしやすい
タータン用スパイクは、均一で反発性のあるオールウェザートラックを効率よく押せるように設計され、短距離用では硬いプレートや前足部へ集中したピン配置を採用し、接地時間を短くする方向へ作られたモデルが多くなります。
土へ深く刺す必要がないため、装着するピンは土用より短く、平行型、二段平行型、円錐に近いグリップ型などが使われ、トラックを大きく傷つけずに必要なグリップと反発を得られる形状が選ばれています。
上級者向けのタータン専用モデルは軽量で反発が強い一方、靴底のラバーやクッションが必要最小限で、プレートも硬い傾向があるため、土で使用すると摩耗、プレートの破損、ピン受け部分の故障につながる可能性があります。
競技場だけで練習できる選手には魅力的な選択肢ですが、スパイクへ慣れていない段階で硬すぎるモデルを選ぶと、動きを助けてもらうどころか最後までプレートを扱えず、ふくらはぎだけが疲れる結果になることもあります。
兼用はピン交換で使い分ける
兼用スパイクは、学校の土グラウンドと競技場のオールウェザートラックの両方に対応できるように、耐久性のある靴底と交換式のピン受けを備え、路面に合わせてピンやアタッチメントを付け替えて使用するモデルです。
一足で日常練習から大会まで対応しやすいため、専門種目が未定の新入部員、初めてスパイクを買う中学生、土と競技場を行き来する高校生、多種目を経験したい選手にとって費用と扱いやすさのバランスが取りやすくなります。
- 土では指定の土用ピンを装着
- タータンではオールウェザー用ピンへ交換
- 必要なモデルではアタッチメントも交換
- 使用前に全ピンの緩みを確認
兼用という名称でも、すべての種目、すべてのピン、すべての競技場へ無条件で対応するわけではないため、商品説明に記載された対応種目と対応ピンを確認し、他社製ピンを自己判断で取り付けないことが重要です。
アシックスも初心者には土トラックとオールウェザートラックの兼用モデルを案内しており、専門種目が固まった段階で種目別モデルへ移行する考え方を公式FAQで示しています。
靴底の耐久性に差がある
土用または兼用のスパイクは、砂や小石が混じる路面で繰り返し走る状況を想定し、接地しやすい部分へゴムを配置したり、ピン受け周辺を保護したりして、練習量を確保しやすい構造に仕上げられる傾向があります。
タータン専用スパイクは、整った競技場での走行を前提として軽量化と反発性を優先するため、かかとのラバーが少なかったり、薄い樹脂プレートが露出していたりして、土やコンクリートで削れやすいモデルがあります。
土の上で走れるかどうかは、ピンの交換可否だけではなく、プレートが小石との接触や不均一な沈み込みへ耐えられるか、かかとを含む接地面に必要な保護があるかというシューズ全体の設計で決まります。
タータン専用モデルへ土用ピンが物理的にねじ込めたとしても、メーカーが土トラック対応としていなければ使用せず、商品ページや取扱説明書にある路面区分を守ることが、故障とけがを防ぐ最も確実な方法です。
プレートの硬さが走りへ影響する
スパイクの前足部に使われるプレートは、接地時に曲がって戻ることで推進を助けますが、硬ければ必ず高性能になるわけではなく、選手が十分な速度、筋力、足首の剛性を備えて初めて強い反発を生かしやすくなります。
初心者向けの兼用モデルは、足の動きに合わせて適度に曲がるプレートを採用する製品が多いため、スパイク特有の前足部接地へ慣れやすく、短距離、中距離、ハードル、跳躍などを試す段階でも扱いやすいことが特徴です。
タータン専用の短距離上級モデルは、接地時の変形を抑えて力を素早く返す設計が多い反面、歩くような速度では曲がりにくく、後半に姿勢が崩れた選手ではプレートに押し返されて接地が乱れる場合があります。
選ぶ際は上位モデルかどうかではなく、試し履きで前足部が無理なく曲がるか、軽く走ったときにかかとが浮かないか、数本走った後もふくらはぎや足裏へ局所的な張りが出ないかを確かめてください。
ピンの形状と長さが異なる
土用ピンは柔らかい路面へ入りやすいように先端が鋭く、タータン用ピンは舗装を必要以上に傷つけずに反発を受けられるように、平行型や段差のある形状などが採用されるため、外観でもある程度区別できます。
ただし、オールウェザー用にも複数の形状があり、種目やモデルによって推奨される長さが違うため、短距離だから一律に九ミリ、中長距離だから一律に五ミリと決めず、シューズごとのピン対応表を確認する必要があります。
| 比較項目 | 土用ピン | タータン用ピン |
|---|---|---|
| 先端 | 鋭く尖った形状 | 平行型など |
| 役割 | 土へ深く刺す | 舗装を効率よく押す |
| 長さ | 比較的長め | 比較的短め |
| 使用場所 | 土グラウンド | オールウェザー |
ミズノの公式ピン案内でも、路面と種目ごとに形状や長さが分けられているため、自分のモデルに合う品番を照合する資料として活用できます。
競技場独自のピン形状や長さの制限が設けられることもあるので、メーカー上は対応可能でも、大会要項や施設利用案内で認められていなければ、現地の指定を優先しなければなりません。
初心者は兼用から始めやすい
初めて陸上スパイクを購入する選手には、普段の練習場所が土で大会がタータンという一般的な部活動環境へ一足で対応でき、プレートも比較的扱いやすい兼用モデルが現実的な第一候補になります。
入部直後は短距離を希望していても、顧問の提案や適性によって中距離、ハードル、走幅跳へ移ることがあるため、種目を狭く限定したタータン専用モデルより、複数種目に対応する兼用モデルのほうが無駄になりにくくなります。
反発の強い上級モデルを早く履けば記録が伸びるとは限らず、姿勢、接地、腕振り、スタート動作が安定していない段階では、癖の少ないスパイクで正しい動作を反復するほうが長期的な成長へつながります。
専門種目が定まり、競技場での練習頻度が増え、兼用モデルでは物足りなさを感じるようになった段階で、試合用としてタータン専用モデルを追加すれば、練習量と競技性能の両方を確保しやすくなります。
練習環境から選ぶ基準

陸上スパイクを選ぶときは、憧れている選手が履くモデルや商品の順位よりも、一週間の練習のうち、どの路面で何回スパイクを使用するのかを最初に整理することが重要です。
同じ短距離選手でも、毎日土グラウンドで走る選手と、学校に全天候走路が整備されている選手では、必要な耐久性や対応ピンが大きく異なります。
現在の環境だけでなく、競技場練習の回数、大会の頻度、二足目を購入できる時期まで考えると、購入後に使えない場面が生じにくくなります。
学校が土なら兼用を優先する
学校のグラウンドが土で、記録会や大会だけ競技場を利用する選手は、土トラック対応が明記された兼用スパイクを選び、練習では土用ピン、大会ではオールウェザー用ピンへ交換する使い方が基本です。
土での使用回数が多い環境では、軽さを優先したタータン専用モデルより、かかとや前足部の保護があり、ピン受け周辺の耐久性も考えられたモデルのほうが、年間を通して安定して練習できます。
- 普段の路面が土か確認
- 商品表示で土トラック対応を確認
- 土用ピンの付属品を確認
- 大会用ピンを別途準備
- 交換用ハンドルを携帯
購入時に土用ピンが付属していても、大会で使うタータン用ピンは別売りになっている場合があるため、本体価格だけでなく、必要なピン、アタッチメント、ピンカバーを含めた総額で比較してください。
大会前日に初めてピンを交換すると、ネジの固着や部品不足が見つかって対応できないことがあるので、競技場練習の日に交換手順と走行感を確認しておくと安心です。
競技場中心なら専用も候補になる
学校やクラブの練習施設がオールウェザートラックで、土の上ではスパイクを使用しない選手なら、タータン専用モデルを選ぶことで、軽さ、反発、種目に合わせたピン配置を生かしやすくなります。
ただし、競技場中心という条件だけで上級モデルを選ぶのではなく、練習量、走力、専門種目、故障歴を考慮し、毎日の練習に耐えられる扱いやすさがあるかを見極める必要があります。
| 練習環境 | 第一候補 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 土が中心 | 兼用 | 練習と大会を一足で対応 |
| タータンが中心 | 専用または兼用 | 路面性能を生かしやすい |
| 両方を頻繁に使用 | 兼用または二足 | 摩耗を分散しやすい |
| 種目が未定 | 多種目対応の兼用 | 変更へ対応しやすい |
タータン専用スパイクは土で使わなくても、競技場までの通路やスタンド下のコンクリートを歩くとピンやプレートが削れるため、走路へ入る直前までスパイクカバーや別のシューズを利用してください。
練習の全てを高反発モデルで行うと下腿部へ疲労が蓄積する選手もいるので、負荷の高い走練習だけスパイクを使い、ウォーミングアップや流しではランニングシューズを組み合わせる方法も有効です。
二足を使い分ける方法もある
競技経験が増え、専門種目が決まった選手は、土や反復練習に使う兼用モデルと、競技場のレースに使うタータン専用モデルを二足用意すると、それぞれの長所を生かしながら消耗を分散できます。
練習用は耐久性と足への負担の少なさを優先し、試合用は種目に適したプレート、フィット感、軽さを優先すると、毎日の練習で硬いスパイクを使い続ける必要がなくなり、試合用の状態も保ちやすくなります。
ただし、試合用を大会当日だけ履くと、プレートの硬さや接地位置へ対応できないため、試合の一週間以上前から競技場で数回使用し、スタート、加速、コーナー、後半走の感覚を確かめる必要があります。
成長期の選手は短期間で足長や足幅が変わることもあるため、最初から二足の高価なモデルを同時に購入せず、まず兼用モデルで競技を続け、必要性が明確になった時点で専用モデルを追加する順序が堅実です。
スパイクピンを路面に合わせる方法

兼用スパイクの性能を引き出すには、シューズ本体だけでなく、使用場所に適したピンを正しい手順で装着することが欠かせません。
ピンの形、長さ、ネジ規格、アタッチメントの有無を間違えると、グリップが得られないだけでなく、ピン受けのネジ山やプレート自体を破損する可能性があります。
大会では競技規則に加えて会場独自の制限が適用される場合があるため、普段使えるピンがそのまま認められるとは考えず、事前確認を習慣にしてください。
交換は指で仮締めしてから行う
ピンを交換するときは、最初からハンドルで強く回さず、ピンを指でまっすぐ差し込んで軽く回し、ネジ山へ傾かずに入っていることを確かめてから、専用ハンドルで最後まで締めます。
斜めに入った状態で工具を使うと、ピン側だけでなくシューズ内部のピン受けまで傷め、正常なピンも装着できなくなるため、抵抗や引っ掛かりを感じた時点で一度外すことが大切です。
- ピン周辺の土を落とす
- 古いピンをゆっくり外す
- ネジ穴の異物を除く
- 新しいピンを指で入れる
- 専用ハンドルで締める
- 走行前に全箇所を確認
アタッチメント対応ピンは、指定されたアタッチメントと組み合わせることを前提に長さやネジ部が設計されているため、部品を省略したり、外観が似た別製品で代用したりしてはいけません。
締めすぎると次回外せなくなる一方、緩いと走行中に脱落するため、取扱説明書に従って確実に固定し、練習前と大会の招集前に一本ずつ指で触れて緩みがないかを確かめてください。
大会では長さの規定を確認する
日本陸上競技連盟の二〇二六年競技用靴規程では、屋外トラックのスパイクピンは原則として最大九ミリ、走高跳とやり投は最大十二ミリ、屋内トラックは原則として最大六ミリとされています。
規程上の最大長以内であっても、トラックの製造業者、競技場管理者、大会主催者が、より短い上限や使用できるピン形状を定めた場合は、その会場側の指定が優先されます。
| 競技場所 | 規程上の主な上限 | 注意点 |
|---|---|---|
| 屋外トラック | 九ミリ | 会場指定を優先 |
| 走高跳 | 十二ミリ | 大会要項を確認 |
| やり投 | 十二ミリ | 助走路規定を確認 |
| 屋内トラック | 六ミリ | 九ミリ許可の場合あり |
最新の規程は日本陸上競技連盟が公開する競技用靴に関する規程で確認できるため、全国大会や公認競技会へ出場する選手は、年度が変わった時点でも確認すると確実です。
ピンの長さだけでなく、使用できるシューズ、靴底の厚さ、招集時の確認方法が大会ごとに示されることもあるので、申込後に配布される競技注意事項まで読んで準備してください。
固着と紛失を早めに防ぐ
土や水分が付いたままピンを長期間外さずに保管すると、金属部分がさびたり、細かな砂がネジ部へ詰まったりして、交換したいときにピンが固着して動かなくなることがあります。
使用後は泥を落として水分を拭き、必要に応じてピンを外してネジ部も乾燥させますが、潤滑剤や防錆剤は素材へ影響する可能性があるため、メーカーが認めていない製品を大量に塗布しないでください。
角が削れたタータン用ピンや先端が丸くなった土用ピンは、同じ力で走っても路面を捉えにくくなり、滑りを補おうとして足首やふくらはぎへ余計な力が入りやすいため、早めの交換が必要です。
大会用バッグには、予備ピンを必要本数より多めに入れ、専用ハンドル、アタッチメント、ピンカバー、小さな布を一緒に保管すると、移動中の紛失や会場での緩みに対応しやすくなります。
種目と経験に合う一足の考え方

対応する路面が同じでも、百メートル用と長距離用、跳躍用では、ピンの配置、プレートの範囲、かかとの形、クッション量が異なります。
兼用モデルには複数種目へ対応する製品が多いものの、すべての動きを同じ水準で支えられるわけではないため、専門種目が決まった後は種目適性も重視する必要があります。
自分の走力と筋力に合う硬さ、成長期の足に合うサイズ、練習を継続できる履き心地まで含めて選ぶことで、スパイクの性能を記録へつなげやすくなります。
初心者は扱いやすさを優先する
初心者が最初に優先したいのは、強い反発や極端な軽さではなく、土とタータンの両方で使え、複数種目へ対応し、足裏全体が無理なくシューズへ収まる扱いやすい兼用モデルです。
適度に曲がるプレートと安定したかかとを備えるモデルなら、スパイク特有の前足部接地を学びながら、スタート練習、テンポ走、ハードルドリル、跳躍の基礎練習などへ幅広く利用できます。
- 土とタータンの兼用表記
- 希望種目への対応
- 曲げやすいプレート
- かかとの安定感
- 指先を動かせる幅
- 交換ピンの入手しやすさ
体格が大きい選手や走力の高い初心者でも、スパイクへの慣れが十分とは限らないため、周囲と同じ上級モデルを選ばず、試し履きと顧問や専門店の助言を基準にしてください。
半年から一年ほど使って専門種目と接地の特徴が明確になれば、次の一足でプレートの硬さやピン配置を変えられるため、最初のスパイクへ全ての性能を求める必要はありません。
種目ごとに必要な構造が変わる
短距離では加速と高い速度を支える前足部の剛性、中長距離では周回を続けられる軽さと負担の少なさ、跳躍では助走から踏み切りまでの安定性が重視されるため、同じ路面用でも設計は異なります。
複数種目対応の兼用モデルは入門期に便利ですが、百メートル専門の選手が記録を狙う段階や、走幅跳で強い踏み切りを行う段階では、種目専用モデルの構造が動作を支えやすくなります。
| 種目 | 重視する特徴 | 選択の目安 |
|---|---|---|
| 短距離 | 反発と前足部の固定 | 習熟後は専用も候補 |
| 中距離 | 反発と負担の均衡 | 距離対応を確認 |
| 長距離 | 軽さと持続性 | 硬すぎないモデル |
| ハードル | 接地の安定 | 対応種目を確認 |
| 跳躍 | 助走と踏み切り | 跳躍対応を優先 |
短距離用スパイクを走幅跳へ流用すると、かかとの形状やピン受けの強度が踏み切り動作へ合わない場合があるため、メーカーが示す対応種目に跳躍が含まれているかを確認してください。
専門種目が二つある場合は、練習頻度と大会で優先する種目を決め、一足で兼用できる範囲なのか、動作の違いが大きいため二足必要なのかを顧問や専門店と相談すると判断しやすくなります。
サイズは普段履きだけで決めない
陸上スパイクは足とシューズのずれを抑える必要があるため、一般的な通学靴より密着感がありますが、指先が曲がるほど小さいサイズや、横幅を強く圧迫するサイズを選ぶことは適切ではありません。
試し履きは足がむくみやすい午後や練習後に行い、競技で使う靴下を着用したうえで、かかとを合わせて靴ひもを締め、つま先の余裕、足幅、土踏まず、かかとの浮きを確認します。
立った状態では合っていても、前足部へ体重をかけると親指や小指が当たることがあるため、店内で許可される範囲で軽く前傾し、スタート姿勢に近い荷重をかけて痛みがないかを確かめてください。
成長を見越して大きすぎるサイズを買うと、加速時に足が前へ滑って爪を傷めたり、コーナーで横ぶれしたりするため、現在の足に合うサイズを選び、成長後は買い替える前提で考えるほうが安全です。
購入後に安全性を保つ使い方

路面と種目に合うスパイクを選んでも、使用後の泥や水分を放置したり、コンクリートを歩いたりすると、ピンとプレートの性能は早く低下します。
陸上スパイクは外見上の破れがなくても、ピンの摩耗、ピン受けの緩み、プレートの亀裂、アッパーの伸びによって安定性が失われることがあります。
日常的な手入れと定期的な状態確認を組み合わせ、違和感が出る前に部品交換や買い替えを判断することが、練習の継続とけがの予防につながります。
使用後は泥と水分を残さない
土グラウンドで使用した後は、乾いた泥を柔らかいブラシで落とし、ピン周辺や靴底の溝へ入り込んだ小石を取り除いてから、固く絞った布で汚れを拭きます。
雨天練習や発汗で内部まで湿った場合は、中敷きを外して風通しのよい日陰で自然乾燥させ、ドライヤー、暖房器具、直射日光による急速な乾燥は接着部や素材を傷める可能性があるため避けます。
- 泥を乾かしてから落とす
- ピン周辺の小石を除く
- 水分を布で拭き取る
- 中敷きを外して陰干し
- 乾燥後にピンを確認
- ピンカバーを付けて保管
濡れた状態のまま密閉したバッグへ入れると、金属部のさび、臭い、接着部の劣化が進みやすくなるため、帰宅後は早めにバッグから出して乾燥させてください。
洗剤や水への丸洗いが認められていないモデルもあるので、汚れが強い場合でも取扱説明書を確認し、漂白剤や溶剤など素材へ強い影響を与えるものは使用しないことが基本です。
摩耗の兆候を見逃さない
スパイクの寿命は使用期間だけで決められず、走る路面、練習頻度、体重、接地の癖、保管状態によって変わるため、毎月一度は靴底とアッパーを目で見て状態を確かめる必要があります。
特に土用ピンの先端が丸くなった状態、タータン用ピンの角が削れた状態、ピン受け周辺の樹脂が薄くなった状態は、グリップの低下や部品脱落につながる代表的な兆候です。
| 確認箇所 | 交換や買い替えの兆候 | 主な影響 |
|---|---|---|
| 土用ピン | 先端が丸い | 土へ刺さりにくい |
| タータン用ピン | 角が削れている | グリップが低下 |
| ピン受け | 緩みや露出がある | ピンが脱落 |
| プレート | 亀裂や変形がある | 接地が不安定 |
| アッパー | 破れや大きな伸び | 足が横ぶれ |
左右で摩耗の程度が大きく違う場合は、単なる製品劣化だけでなく、接地位置やフォームの偏りが影響していることもあるため、顧問やコーチへ走りを見てもらうきっかけにできます。
ピンだけを交換してもプレートが割れていたり、ピン受けが回転したりする場合は安全に使用できないため、自分で接着して延命せず、販売店やメーカーへ相談してください。
よくある使い方の失敗を避ける
最も避けたい失敗は、土用ピンを付けたままタータンを走ること、タータン専用スパイクを土で使うこと、ピンを装着したままコンクリートやアスファルトを歩くことです。
どの行為も一回で必ず壊れるとは限りませんが、路面を傷つけるほか、ピンの摩耗、プレートの削れ、ピン受けへの衝撃を増やし、次の練習中に突然不具合が表れる原因になります。
また、長いピンほどグリップが高く記録も伸びると考え、路面や種目に必要のない長さを選ぶと、ピンが抜けるまでの抵抗が大きくなり、接地時間の増加や下腿部の負担につながる可能性があります。
使用する前日に路面、ピン、アタッチメント、大会規定を確認し、移動時は別のシューズを履き、走路へ入ってからスパイクへ履き替える習慣を作れば、多くの故障と準備ミスを防げます。
練習場所を基準に自分へ合う一足を選ぼう
陸上スパイクの土用は、尖ったピンで柔らかい土を捉え、土での摩耗を考慮した構造を持つ種類であり、タータン用はオールウェザートラックの反発を生かせるピンとプレートを備えた種類です。
兼用スパイクは、同じ状態のまま全路面で使える製品ではなく、土では土用ピン、タータンではオールウェザー用ピンへ交換し、モデルによっては指定のアタッチメントも使い分けることで両方へ対応します。
学校の土グラウンドで練習し、競技場で大会へ出る初心者は兼用モデルを第一候補にし、専門種目が決まって競技場での練習が増えた後に、試合用のタータン専用モデルを追加すると無理のない段階的な選択になります。
購入時は対応路面、対応種目、プレートの硬さ、足へのフィット、必要な交換ピンを確認し、使用時は大会と施設の規定を優先したうえで、路面に合うピンの装着、使用後の乾燥、摩耗部分の早めの交換を徹底してください。




