陸上競技のスタートリストや大会結果を見ていると、選手名の横に「DNS」と表示され、タイムや順位が記載されていないことがありますが、初めて目にした人は、失格になったのか、途中で棄権したのか、単に記録が計測されなかったのか判断しにくいものです。
陸上で使われるDNSはインターネットの仕組みを表すDomain Name Systemとは異なり、Did Not Startの頭文字を取った競技用の略号で、エントリーされていた選手が競技を開始しなかったことを示します。
ただし、DNSになる理由はけがや体調不良による自主的な欠場だけではなく、招集完了時刻への遅刻、移動上のトラブル、出場意思の変更、競技役員や医師による判断などさまざまであり、結果欄のDNSだけを見ても詳しい事情までは分かりません。
ここでは、陸上におけるDNSの正確な意味、DNFやDQなどの似た略号との違い、DNSとして扱われる主な場面、大会当日に欠場を避ける準備、やむを得ず出場を取りやめる際の対応まで整理し、選手や保護者だけでなく観戦者も結果表を正しく読めるように説明します。
陸上のDNSとはスタート前の欠場を示す略号

陸上競技におけるDNSはDid Not Startの略で、日本語では一般に「欠場」や「スタートしなかった」と表され、申し込みや選手登録が行われていたにもかかわらず、その種目の競技を開始しなかった選手の結果欄に用いられます。
判断の中心になるのは、本人が競技場へ来たかどうかではなく、対象となる種目を競技上開始したかどうかであり、会場に到着していても招集を完了できなかった場合や、ウォーミングアップ後に出場を取りやめた場合はDNSになる可能性があります。
DNSは理由を詳しく説明する文章ではなく、選手の状態を短く統一して示す結果用の略号なので、体調不良、故障、遅刻、戦略的な欠場などを結果表だけから断定せず、必要に応じて大会の発表や本人の説明を確認する姿勢が大切です。
Did Not Startの意味
DNSを構成するDid Not Startは直訳すると「スタートしなかった」という意味であり、陸上競技では出場予定者が競走を開始しなかった場合や、フィールド種目で最初の試技を行わなかった場合などを整理するために使われる基本的な略号です。
日本陸上競技連盟が示す競技会用の略号一覧でも、DNSの日本語表記は「欠場」、意味はDid Not Startと整理されており、DNFやDQとは異なる状態として区別されています。
結果欄にDNSが付いた選手には有効な競技記録や順位が生じないため、短距離走なら秒数、長距離走ならゴールタイム、跳躍や投てきなら有効試技の距離や高さが表示されず、数値の代わりにDNSだけが掲載される形が一般的です。
| 略号 | 英語 | 基本的な意味 |
|---|---|---|
| DNS | Did Not Start | 競技を開始しなかった |
| DNF | Did Not Finish | 開始後に完了しなかった |
| DQ | Disqualified | 規則違反などによる失格 |
| NM | No Mark | 有効な記録がない |
DNSを理解するときは「エントリーされていたがスタートしていない」という時間的な境界を押さえると分かりやすく、欠場理由を推測するよりも、競技開始前の状態を示す略号だと捉えることが正確です。
日本語では欠場と表す
日本の大会ではDNSを「欠場」と表現することが多く、プログラムには名前が掲載されているものの、実際のスタートリストや正式結果ではDNSに変更されている選手を見かけることがあります。
日常会話では「棄権」という言葉も使われますが、棄権はスタート前の出場取りやめにも競技途中の離脱にも使われるため、公式結果を読む際はDNSが開始前、DNFが開始後という区別を優先したほうが誤解を防げます。
例えば、100メートルの選手が競技開始前に脚の痛みを訴えて出場を取りやめればDNSとなり、同じ選手が号砲後に走り始めたものの途中で止まれば、状況や正式な判定に応じてDNFなど別の結果表記になります。
実況や報道で単に「棄権」と伝えられた場合は、スタート前なのか途中なのかが省略されている可能性があるため、正式リザルトの略号を見ることで、競技が開始されていたかをより明確に把握できます。
基準は競技開始の有無
DNSとほかの結果を分ける最大の基準は、対象種目で競技を開始した事実があるかどうかであり、トラック競技ではスタート動作に入ってレースを開始したか、フィールド競技では有効か無効かを問わず試技を実施したかなどが重要になります。
競技場に入場したか、ユニフォームへ着替えたか、ウォーミングアップを終えたかは状況を理解する材料にはなりますが、それだけで正式結果が決まるわけではなく、競技規則や大会運営上の手続に基づいて審判長や担当役員が判断します。
スタート直前に体調が悪化してレーンへ入らなかった場合はDNSと考えやすい一方、スタートの合図後に動き出してから競技を継続できなくなった場合は、すでに競技開始後なのでDNSではなくDNFなどの対象になり得ます。
フィールド競技や混成競技では、どの時点を開始と扱うかが種目や状況によって分かりにくいこともあるため、選手自身の判断だけで表記を決めず、正式発表された結果と大会規則を確認することが必要です。
結果表での見え方
大会のリザルトでは、DNSは通常、選手名、所属、ナンバー、レーンや試技順などが並ぶ行の記録欄や備考欄に表示され、タイムや順位が空欄になるため、記録の計測失敗ではなく欠場として整理されたことが分かります。
大会前に欠場届を提出した選手がスタートリストから削除される運用もあれば、プログラムや確定済みのスタートリストに名前を残したまま結果欄をDNSとする運用もあり、表示方法は競技会の規模や番組編成の時期によって異なります。
- 選手名の横にDNSと表示される
- タイムや距離は記載されない
- 順位の対象には含まれない
- 欠場理由までは表示されない
- 組やレーンが空いた状態になる
速報サイトでは一時的に空欄や未確定と表示された後にDNSへ更新される場合もあるため、競技開始直後の画面だけで判断せず、審判処理を終えた正式結果または大会主催者が公開する確定版を見ると安心です。
失格を意味する略号ではない
DNSは競技を開始しなかった事実を示す略号であり、それ自体がフライング、レーン侵害、妨害行為などによる失格を意味するわけではなく、規則違反による失格は一般にDQまたはDSQとして区別されます。
けがを悪化させないために本人や指導者が欠場を判断した場合は、安全を優先した適切な選択であることも多く、DNSという文字だけを見て準備不足や責任放棄だったと評価するのは適切ではありません。
一方で、招集時刻を守らずDNSになった場合や、確定後の無断欠場が大会規則上の問題になる場合もあるため、DNSなら常に手続上の不利益がないとも断定できず、出場予定だった選手は大会要項に沿った連絡を行う必要があります。
つまり、DNSは失格の原因や選手への評価を示す言葉ではなく結果の状態を表すものであり、欠場に至った経緯や、その後の種目への参加可否については別の規定や主催者の判断が関係します。
本人の希望とは限らない
DNSには、選手が自ら出場を取りやめるケースだけでなく、招集手続を完了できなかったケース、医師や競技役員から出場を止められたケース、交通障害によって会場へ到着できなかったケースなども含まれ得ます。
本人が走る意思を持って会場へ向かっていても、定められた招集完了時刻までに受付や点検を終えられなければ競技へ参加できず、正式結果ではDNSとなるため、気持ちの有無と記録上の表記は分けて考えなければなりません。
| 状況 | 本人の出場意思 | DNSの可能性 |
|---|---|---|
| けがで自主的に欠場 | 取り下げた | 高い |
| 招集完了時刻に遅刻 | 残っている | 高い |
| 医師が出場を止めた | 残る場合がある | ある |
| 交通障害で未到着 | 残っている | ある |
結果表から読み取れるのは、あくまで競技を開始しなかったという点までなので、選手の姿勢や欠場理由を知る必要がある場面では、公式発表、チームの説明、本人の発信など根拠のある情報を待つことが大切です。
種目によって状況が異なる
短距離走ではスタートラインに立たなかった状態がイメージしやすいものの、長距離走、道路競走、駅伝、跳躍、投てき、混成競技では競技進行の仕組みが違うため、DNSが生じる場面も一様ではありません。
マラソンでは参加受付を済ませていても当日のスタート地点へ並ばなければDNSとなり、走幅跳ややり投では試技順に名前があっても一度も試技を開始しなければDNSとして整理されることがあります。
混成競技では複数種目を連続して行うため、最初の種目を開始しなかった場合と、いくつかの種目を終えてから離脱した場合では表記や扱いが異なり、単純にすべてをDNSと呼べるわけではありません。
駅伝やリレーではチームのエントリー変更、オーダー提出、招集、実際の出走状況が関係するため、個人種目と同じ感覚で推測せず、その大会の要項や正式結果に記載されたチーム単位の判定を確認する必要があります。
インターネット用語とは別物
DNSという文字は情報通信の分野でも広く使われており、インターネットではDomain Name Systemの略として、ドメイン名とIPアドレスを対応させる仕組みを指しますが、陸上の結果表に登場するDNSとは意味も用途も異なります。
検索画面で「DNSとは」とだけ入力すると通信技術に関する説明が多く表示されるため、陸上競技の意味を調べたい場合は「DNSとは陸上」「DNSマラソン」「陸上DNSとDNFの違い」など、競技名を加えて検索すると目的の情報へたどり着きやすくなります。
スポーツ分野でもDNSという名称のサプリメントブランドがあるため、文章の前後を見ずに判断すると、競技結果、通信技術、商品名のどれを指しているのか混同する可能性があります。
陸上のスタートリストやリザルトで、選手名の近くに記録の代わりとしてDNSが記載されているならDid Not Startを指すと考えられますが、最終的には掲載ページの凡例や大会資料を確認するのが確実です。
DNSになる主な場面を知っておこう

選手がDNSになる背景には、故障や発熱のように出場を見送ることが望ましいケースだけでなく、招集時刻の誤認、移動の遅れ、用具の不備、急な天候変化など、準備や運営手続に関係するケースもあります。
すべてのDNSを完全に防ぐことはできませんが、原因を健康上の問題、招集手続の問題、移動や環境の問題に分けて考えると、選手やチームが事前に対策できる部分と、安全のために欠場を受け入れるべき部分を整理できます。
特に初めて公式大会へ出場する選手は、競技開始時刻だけを見て行動しがちですが、実際には受付や招集がかなり前に締め切られる場合があるため、大会要項と競技注意事項を事前に読み込むことが重要です。
けがや体調不良
DNSになる代表的な理由は、競技前に判明したけが、発熱、感染症の疑い、強い疲労、脱水症状、腹痛などであり、無理に出場すると症状を悪化させたり、長期間の離脱につながったりする可能性があります。
大切な大会ほど出場したい気持ちは強くなりますが、痛みによってフォームが崩れている状態や、日常生活にも支障がある状態で無理をすると、目標としていたレースだけでなく次のシーズンにも影響が及びかねません。
- 安静時にも強い痛みがある
- 発熱や悪寒が続いている
- 歩行や軽い動作で症状が増す
- 脱水や意識低下の兆候がある
- 医師から運動を止められている
欠場判断に迷うときは、選手一人で抱え込まず、保護者、指導者、トレーナー、医療従事者へ状態を具体的に伝え、DNSを失敗と決めつけず競技生活を守るための選択肢として検討する必要があります。
招集時刻への遅刻
陸上競技では競技開始前に招集所や指定場所で本人確認、アスリートビブス、ユニフォーム、シューズ、持ち込み品などの点検が行われ、定められた完了時刻までに手続を終えなければ出場できないことがあります。
第110回日本陸上競技選手権大会の競技注意事項でも、招集完了時刻に招集所へいない競技者は当該種目への参加から除外され、DNSとして記録される旨が示されています。
| 確認項目 | 起こりやすい失敗 | 基本対策 |
|---|---|---|
| 招集開始時刻 | 競技開始時刻と混同 | 前日に別記する |
| 招集完了時刻 | 開始後なら間に合うと誤解 | 余裕を持って到着 |
| 招集場所 | サブトラックと勘違い | 会場図を確認 |
| 必要物 | ビブスや腰ナンバーを忘れる | 袋にまとめる |
大会によって招集方法や締切時刻は異なり、代理人による手続が認められない場合もあるため、過去に出場した大会の経験だけに頼らず、今回の大会資料を基準に行動することがDNS防止につながります。
移動上のトラブル
道路渋滞、鉄道の運休、駐車場の満車、会場入口の混雑、送迎車の故障などによって招集へ間に合わず、競技を開始できない場合もDNSとなる可能性があるため、移動計画はウォーミングアップ時間だけでなく予備時間も含めて立てる必要があります。
大規模な大会では競技場周辺の駐車や乗降が制限されることがあり、観客の入場列と選手受付の入口が異なる場合もあるため、初めての会場では交通手段、最寄り駅、選手入口、受付場所を前日までに確認しておくと安心です。
台風や大雪など広範囲の交通障害では大会日程そのものが変更される可能性もありますが、個人的な遅刻が自動的に救済されるとは限らないため、主催者から配信される緊急情報を確認し、問題が起きた時点でチーム責任者へ連絡します。
公共交通機関の大規模な遅延など本人の行動では避けにくい事情があっても、最終的な参加可否は大会側の判断になるので、独自に大丈夫だと考えて競技場所へ直接向かわず、受付や競技者係の指示に従うことが重要です。
似た略号の違いを整理する

陸上の結果表にはDNS以外にもDNF、DQ、NM、Q、q、PB、SBなど多くの略号が使われ、英字が並んでいるだけでは、それが欠場、失格、記録なし、予選通過、自己記録のどれを示すのか分かりにくいことがあります。
なかでも混同されやすいのはDNS、DNF、DQであり、競技を開始していないのか、開始後に完了できなかったのか、規則上失格とされたのかという三つの視点で整理すると理解しやすくなります。
結果表の略号は大会運営を簡潔に伝えるための共通言語なので、意味を覚えておくと、現地観戦、速報サイト、記録検索、選手の振り返りなどさまざまな場面で状況を素早く読み取れます。
DNFは競技途中の離脱
DNFはDid Not Finishの略で、トラック競技や道路競技においてスタートはしたものの、けが、体調不良、転倒、制限時間、競技継続の断念などによってフィニッシュしなかった状態を示します。
DNSとの違いはスタートの有無であり、フルマラソンの出走を当日朝に取りやめればDNS、スタートラインを通過して20キロ地点で走るのをやめればDNFと考えると、基本的な区別が分かりやすくなります。
| 比較項目 | DNS | DNF |
|---|---|---|
| 競技開始 | していない | している |
| 記録 | 発生しない | 完走記録は発生しない |
| 代表例 | スタート前の欠場 | レース途中の棄権 |
| 日本語表記 | 欠場 | 途中棄権 |
ただし、どの瞬間から競技開始と判断するかや、特殊な中断がどの表記になるかは正式な競技処理によるため、選手や観客が独自にDNSまたはDNFと決めず、確定リザルトを確認することが必要です。
DQは規則上の失格
DQはDisqualifiedの略で、競技規則に反する行為などによって失格と判定された状態を示し、DNSのように競技を始めなかった状態とも、DNFのように競技途中で完了できなかった状態とも異なります。
トラック競技では不正スタート、他の競技者への妨害、レーンや境界に関する違反などがDQの理由になり得ますが、実際の判定は種目ごとの規則、映像、審判の確認、抗議手続などを踏まえて行われます。
- 不正スタートに関する判定
- 他の競技者への妨害
- レーンやコースの侵害
- 規定外の援助を受ける行為
- 審判の指示に従わない行為
正式結果ではDQとともに適用規則や理由を示す記号が掲載される場合があるため、失格理由を知りたいときはSNS上の推測だけで判断せず、大会の確定結果や審判長の発表を確認することが大切です。
NMは有効記録なし
NMはNo MarkまたはNo valid trial recordedの趣旨で使われ、主に跳躍や投てきなどのフィールド競技で、競技には参加したものの有効な試技記録を残せなかった状態を示します。
走幅跳で与えられた試技がすべてファウルになった場合や、走高跳で最初に挑戦した高さを一度も成功できなかった場合などは、競技を開始しているためDNSではなくNMとして整理されるのが基本です。
フィールド競技では、試技を行わなかったDNS、試技を行ったが有効記録がないNM、途中で競技から離脱したことを示す小文字のr、成功や失敗を表す記号などが使い分けられるため、記録欄全体を見る必要があります。
また、Qやqは次のラウンドへの通過、PBは自己最高記録、SBはシーズン最高記録を示すため、DNSのような欠場表示とは性質が異なり、略号の意味を一つずつ覚えると結果表の情報量をより深く読み取れます。
大会当日にDNSを避ける準備

体調不良や突発的な事故によるDNSを完全になくすことはできませんが、招集時刻の誤認、持ち物不足、会場内での迷子、無理な調整による体調悪化など、準備によって減らせる原因は少なくありません。
大会当日の行動を安定させるには、競技開始時刻から逆算するだけでなく、招集、ウォーミングアップ、移動、食事、トイレ、用具点検に必要な時間を分け、遅れが出ても修正できる余白を設けることが重要です。
特に中学生や高校生の大会では、選手本人だけでなく顧問、コーチ、保護者、チームメートが情報を共有し、誰か一人の記憶だけに頼らない仕組みを作ると手続上のDNSを防ぎやすくなります。
時刻を逆算する
大会前日は競技開始時刻だけでなく、招集開始時刻、招集完了時刻、選手受付の時間、会場到着目標、ウォーミングアップ開始、食事の予定を一つの時系列に並べると、行動の遅れを早めに発見できます。
招集完了の直前を目標にすると、トイレの混雑や移動経路の間違いだけで間に合わなくなるため、指定場所へ早めに到着し、必要物をそろえた状態で待てるように計画するのが安全です。
- 大会要項を保存する
- 招集完了時刻を強調する
- 会場到着目標を決める
- アラームを複数設定する
- チーム内で予定を共有する
複数種目へ出場する場合は招集や競技時間が重なる可能性があるため、本人の判断だけで一方を欠席せず、事前に大会資料を確認したうえで競技者係やチーム責任者へ必要な届出を相談します。
体調の基準を決める
大会当日は緊張による腹痛や身体の重さが起こることもあるため、単なる不安と競技を避けるべき症状を区別できるよう、平常時の体温、痛み、睡眠、食欲、疲労感を日頃から記録しておくと判断材料になります。
出場するか迷ったときに感情だけで決めるのではなく、発熱の有無、歩行時の痛み、腫れ、可動域、めまい、呼吸状態などを確認し、一定の基準を超えたら指導者や医療従事者へ相談する流れを用意しておきます。
| 確認項目 | 注意したい状態 | 基本対応 |
|---|---|---|
| 体温 | 普段より明らかに高い | 出場判断を相談 |
| 痛み | 動作で増悪する | 無理に走らない |
| 睡眠 | 極端に不足している | 強度を再検討 |
| 水分 | 補給できず尿量も少ない | 脱水へ注意 |
DNSを避けること自体を最優先にすると、危険な状態でも出場を選びやすくなるため、準備の目的はどんな状況でもスタートすることではなく、安全に競技できる条件を整え、無理なときは適切に欠場することです。
連絡経路を決める
体調不良、交通遅延、用具忘れなどの問題が起きた際に、誰へどの手段で連絡するか決まっていないと対応が遅れやすいため、選手、保護者、指導者、チーム責任者の連絡順を大会前に決めておく必要があります。
個人で主催者へ直接連絡すると情報が重複したり、正式な欠場届として受理されなかったりする場合があるため、学校やクラブから出場する選手は、まずチーム責任者へ連絡し、大会規定に沿った手続を依頼するのが基本です。
スマートフォンの充電切れや会場の通信混雑も想定し、緊急連絡先を紙にも控える、集合場所を決める、チームメートへ予定を共有するなど、通信機器だけに依存しない準備も役立ちます。
問題が起きてから大会要項を探すのではなく、欠場届の方法、受付場所、競技者係の位置、責任者の連絡先をすぐ確認できる状態にしておくと、DNSになった場合でも無断欠場を避けて落ち着いて対応できます。
DNSになったときの対応を整える

やむを得ず出場しないと決めた場合は、スタート地点へ行かなければよいと考えるのではなく、主催者やチームが定める方法で欠場を伝え、次の種目、リレー、番組編成、参加費、記録処理への影響を確認する必要があります。
正式な連絡が早ければ、空いたレーンや試技順への対応、次点選手の扱い、チーム内のオーダー変更などを進めやすくなり、大会運営やほかの競技者への影響を小さくできます。
また、DNSになった事実を過度に責めるよりも、健康上の理由、準備上の失敗、移動上の問題など原因を整理し、次回に変えられる点だけを具体的な行動へ落とし込むことが競技の継続につながります。
欠場を速やかに伝える
欠場を決めたら、大会要項や競技注意事項に記載された期限、提出先、書式を確認し、個人参加なら主催者の指定窓口、学校やクラブ参加なら顧問やチーム責任者を通して早めに連絡します。
連絡では選手名だけでなく、所属、アスリートビブスの番号、種目、組、競技日時、欠場理由の区分などを正確に伝えると、同姓同名や複数種目への登録がある場合でも処理しやすくなります。
- 選手名と所属
- 出場種目
- 競技日時と組
- アスリートビブス番号
- 次の種目への出場予定
電話や口頭で伝えただけでは正式な届出にならない大会もあるため、メール、専用フォーム、欠場届、TICへの提出など指定された方法を確認し、送信記録や提出内容を残しておくと行き違いを防げます。
参加費の扱いを確認する
DNSになっても参加費が自動的に返金されるとは限らず、自己都合や体調不良による欠場は返金対象外とする大会が多い一方、大会中止、種目中止、主催者側の事情などでは別の取り扱いが定められる場合があります。
参加費には会場使用、計測、ナンバーカード、保険、運営準備など競技前から発生する費用が含まれることがあるため、走っていないという理由だけで必ず全額返金されるとは考えず、申し込み時の規約を確認する必要があります。
| 状況 | 一般的な確認先 | 注意点 |
|---|---|---|
| 本人都合の欠場 | 申込規約 | 返金なしの場合が多い |
| 体調不良 | 大会要項 | 診断書でも対象外の場合あり |
| 種目中止 | 主催者発表 | 対応は大会ごとに異なる |
| 大会延期 | 公式案内 | 振替や権利移行も確認 |
交通費や宿泊費についても大会参加費とは別のキャンセル規定が適用されるため、欠場判断をした時点で予約先へ連絡し、返金の有無だけでなく日程変更やキャンセル料の条件も確認します。
次の大会へつなげる
DNSになると、練習を積んできた選手ほど悔しさや申し訳なさを感じやすいものですが、体調を守るための欠場まで失敗として処理すると、次回も症状を隠して無理に出場する判断につながるおそれがあります。
振り返りでは、けがや感染症のように完全には避けられない要因と、招集時刻の誤認、睡眠不足、移動計画の甘さ、連絡不足のように改善可能な要因を分け、本人の人格ではなく行動や仕組みに焦点を当てます。
例えば招集遅刻が原因なら「注意する」で終わらせず、前日に予定表を共有する、完了時刻の30分前を集合基準にする、責任者が点呼するなど、同じ状況でも実行できる具体策へ置き換えることが重要です。
けがによるDNSなら、痛みが出た時期、直前の練習量、睡眠、シューズ、路面、ケアの内容を記録し、医療従事者や指導者と復帰計画を立てることで、欠場した経験を長期的な競技力向上へ生かせます。
DNSの意味を理解して結果表を正しく読もう
陸上競技におけるDNSはDid Not Startの略で、エントリーされていた選手が対象種目を開始しなかったことを示し、日本語では主に欠場と表されるため、結果欄にタイムや順位がなくDNSだけが掲載されていても、計測ミスや失格を意味するわけではありません。
スタート前の欠場がDNS、スタート後に完了できなかった状態がDNF、規則上の失格がDQ、フィールド競技で有効記録を残せなかった状態がNMという基本的な違いを覚えると、速報サイトや公式リザルトから競技の状況を正確に読み取りやすくなります。
DNSの理由にはけがや体調不良だけでなく、招集完了時刻への遅刻、移動トラブル、医師の判断などもあるため、結果表だけを見て選手の姿勢や欠場理由を断定せず、詳しい事情が必要なときは大会主催者やチームの正式な説明を確認することが大切です。
選手としてDNSを減らしたい場合は、大会要項を読み、招集時刻から逆算して行動し、必要物と連絡経路を準備することが有効ですが、危険な症状があるときは出場そのものを目的にせず、安全を優先して適切な欠場手続を行い、次の大会へつながる振り返りを進めましょう。




